2017 Fiscal Year Research-status Report
トリボルナウイルスの病原性発現機序と宿主域決定因子の解明
Project/Area Number |
17K15369
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
佐々 悠木子 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (20582464)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ABV / MuBV-1 / 発育鶏卵 |
Outline of Annual Research Achievements |
[1]抗ABVモノクローナル抗体の作製 ABVのMuBV-1とPaBV-4のN領域の組換えタンパクを大腸菌にて発現精製し、Balb/cマウスに免疫した。マウスにおいて、抗体価は十分に上昇し、抗血清を得ることができた。しかしながら、マウスの脾細胞とミエローマSp-2/AG14の融合を試みたが、MuBV-1及びPaBV-4に対して抗体価をもつハイブリドーマは得られなかった。 [2]動物感染実験によるABVの感染性、病原性および体内動態の評価 生体のトリへの接種に用いるABVをABV持続感染細胞から回収し、ウイルス力価を確認し、接種の準備が整った。導入した生体のトリが、ABVとは関連のないマクロラブダス症などの他の感染症で亡くなってしまったため、今年度は発育鶏卵でのABVの増殖の有無を調べた。ニワトリの品種は、GRN, GSP, GSN/1, PNP/DO, YL, BL-E, WL-G, WL-M/O, RIR, CAL, 413, OS, GB, EJ, DDW, POL, BRB, JB, SIL, FZSILの20品種を用いた。10日齢の発育鶏卵にMuBV-1を漿尿膜腔接種し、5日培養して漿尿液を回収し、MuBV-1を定量PCRにて測定したがいずれの品種の発育鶏卵でもウイルスの増殖が確認されなかった。また、4代まで継代を試みたが、ウイルスは増殖しなかった。このことより、発育鶏卵ではMuBV-1は増殖せず、ニワトリでのABVの感染のリスクは他の鳥種と比較して低いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
感染実験用に導入した生体のトリの死亡が予想外に続いた。トリにはマウスやラットのように見事な管理をされた実験動物供給システムが無いために生じた予期せぬ死亡である。
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Strategy for Future Research Activity |
[1]抗ABVモノクローナル抗体及び抗血清を用いたABV中和試験 今回得られたMuBV-1及びPaBV-4のN領域に対する抗血清を用いて、ウイルスの中和が生じるか中和試験にて調べる。他の領域に対する抗血清についても同様に得て、中和試験を行う。また、抗体価のあるハイブリドーマを得られるよう、ハイブリドーマの形成率を上昇させる。 [2]動物感染実験によるABVの感染性、病原性および体内動態の評価 導入したトリが死亡しないよう、原因の分かっている感染症に関しては遺伝子検査方法を確立し、導入時に検査し、治療し、感染実験に用いる。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が遅れたため、細胞のクローニングに必要な96wellプレートなどの物品を今年度に購入する必要が減じた。来年度に研究の進捗に合わせて執行する。
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