2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of a wildlife surveillance tool for TADs outbreak preparedness measure.
Project/Area Number |
17K15371
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
桐野 有美 宮崎大学, 農学部, 助教 (70630523)
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Project Period (FY) |
2018-02-28 – 2020-03-31
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Keywords | 海外悪性家畜伝染病 / 口蹄疫 / アフリカ豚コレラ / 唾液 / 野生イノシシ / 疫学調査ツール |
Outline of Annual Research Achievements |
海外悪性伝染病である口蹄疫やアフリカ豚コレラは、ウイルスによって起こる急性熱性伝染病であり、その極めて強い伝染力と畜産業界・国際貿易への影響力の大きさから、我が国では家畜伝染病予防法の法定伝染病に指定されている。こうした病原体が日本国内に侵入した際、感受性動物である野生イノシシに感染が及ぶことは、 家畜防疫上の重大なハザードとなる。そこで本研究は、口蹄疫およびアフリカ豚コレラの野生イノシシ群への感染拡大を迅速に評価する調査ツールを確立する。イノシシから非侵襲的かつ効率的に唾液を採取する方法と、対象病原体を検出する遺伝子診断法の条件を検討し、国外の口蹄疫およびアフリカ豚コレラの常在地域で性能評価する。このツールによって得られるデータと地理情報を用いた空間解析により、野生イノシシにおける病原体保有状況の監視および感染源リスク評価を行う体制構築に寄与することができる。平成30年度は、野生イノシシの非侵襲的唾液サンプル採取法の検討を行った。具体的には、 1. 唾液採取用スワブを作製し、飼育ブタを用いた嗜好性試験をもとに、スワブを覆うベイト素材を決定した。 2. 1.の方法によりブタが唾液サンプリング用スワブを咀嚼することで、ロープに1~3mlの唾液が吸収され、回収した唾液から効率的に核酸を抽出する方法を確立した。 3. 1.および2.の方法により、宮崎県内の野生イノシシ(S. scrofa leucomystax)の生息地域にサンプリング用スワブを設置し、その唾液回収効率を調査した。ベイトの咀嚼痕跡や唾液の回収成績、さらに核酸抽出効率などをもとに、設置場所や設置時間などを検討した。センサーカメラの映像と、回収した唾液のミトコンドリアDNA解析により、イノシシだけでなく、タヌキやテンなどの野生動物によってもベイトが採食されたことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
野外調査の許可申請に時間を要し、野生イノシシを対象とした実験の開始が予定より遅れた。その影響で、柑橘類の収穫時期と重なり、それを狙う野生サルが頻繁に出没した影響で、調査予定地の野生イノシシの出現が想定より少なく、実験の効率が低下した。以上の理由により、フィールドでの試行回数を十分に確保できず、イノシシ以外の野生動物によるベイト採食を回避する方法について、検討の余地がある状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
実際の生息痕跡をもとに試験場所をより適切に選定し、国内の野生イノシシを対象とした試行を追加する。これにより、初年度で生じた課題である、イノシシ以外の野生動物による影響を低減する方法を確立する。また、本サンプリング方法で採取される野生イノシシ唾液中の微量のウイルス遺伝子を検出するため、ProteinGコート免疫磁器ビーズを用いたウイルス濃縮法および迅速遺伝子検査法を組み合わせる。口蹄疫およびアフリカ豚コレラが常在しているケニア、ウガンダにおいて、本法のウイルス検出ツールとしての性能評価を行うため、研究協力者との調整を進める。
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