2017 Fiscal Year Research-status Report
イヌ腫瘍細胞株におけるがん幹細胞の分離およびmTOR阻害剤の放射線増感効果
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17K15375
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
細谷 謙次 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (50566156)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Metformin / がん幹細胞 / 分子標的療法 / 放射線治療 / 活性酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、29年度において4種の犬由来腫瘍細胞株からがん幹細胞(Cancer Stem-Like Cells: CSCs)を分離することに成功し、そのin vitroでの放射線抵抗性がそれぞれの親細胞株よりも増加していることが確認された。 また、それぞれの細胞株をマウスに接種し、in vivoにおける腫瘍形成能を観察したところ、4種すべてのCSCsにおいて、親細胞株と比較して有意に腫瘍形成能が増加していることも確認された。 CSCsの放射線抵抗性の機序解明を目的として、HMPOS(イヌ骨肉腫高転移細胞株)において、親細胞株とCSCsをの放射線暴露後のDNA2本鎖断裂(DSB)の数とその継時的変化を評価したところ、CSCsでは親細胞株よりもDSBの形成数が少なく、その修復も親細胞株よりも早いことが確認された。 CSCsの放射線抵抗性に対する、mTOR/PI3K経路阻害剤およびMetforminの効果を検討するため、in vitroにおいてmTOR/PI3K経路阻害剤であるGedatolisibとMetforminを用いて評価したところ、Metforminでは放射線抵抗性が親細胞株に近いレベルにまでリバースされるのに対し、Gedatolisibでは同様の効果はみられなかった。 Metforminの作用として、ミトコンドリアにおける活性酸素種の生成阻害効果とmTOR/PI3K経路阻害効果の2つが提唱されているため、この2つの機序のどちらが上記効果に寄与しているかを確認するため、現在はMetformin暴露時のHMPOS細胞のmTOR/PI3K経路関連タンパクの発現レベルをWestern Blot法にて、細胞内活性酸素種の定量をフローサイトメトリーを用いて評価中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の29年度中における進行は当初の予定を上回るペースである。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度の結果として、当初の仮説とは異なり、Metforminで確認されたCSCsに対する放射線抵抗性の消失効果は、mTOR/PI3K経路阻害剤では確認されなかった。そのため、当初30年度以降に計画していた、mTOR/PI3K経路阻害剤による放射線増感効果の検討ではなく、mTOR/PI3K経路阻害以外のMetforminの放射線増感効果の機序の解明を中心に研究を進めていく方針である。 今後は、1.Metformin暴露下でのmTOR/PI3K経路関連タンパクの発現量の変動の解析、2.細胞内活性酸素種の生成経路におけるMetforminの作用を解析、3.In vivo(腫瘍移植マウス)におけるMetforminの放射線増感効果の解析、4.イヌ自然発生腫瘍におけるMetforminの放射線増感効果の検討を実施していく予定である。
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Causes of Carryover |
実質上ほぼ計画通り研究費を使用しているが、端数として少額が次年度に繰り越しになっている。
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