2018 Fiscal Year Research-status Report
HORMAD1による相同染色体のペアリング機構の解明
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17K15392
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 靖浩 東京大学, 定量生命科学研究所, 特別研究員 (50793064)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 減数分裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
29年度に同定したHORMAD1の相互作用因子のうちコヒーシンとの間の相互作用を免疫沈降法により確認した結果、HORMAD1を含む複合体にはコヒーシンが多く含まれることが明らかとなった。そして、タンパク質同士の直接的な結合を確認するために、リコンビナントタンパク質を用いたプルダウン法により調べた結果、HORMAD1とコヒーシンは直接結合することが明らかとなった。また、細胞内・核内でタンパク同士が相互作用している位置を細胞学的に解析できるPLA法(Proximity Ligation Assay)を行ったところ、HORMAD1とコヒーシンとの相互作用は減数分裂前期の進行に伴い亢進しすることが明らかとなった。さらに、減数分裂前期の初期においてHORMAD1とコヒーシンの相互作用部位の多くは、軸構造因子の1つであるシナプトネマ複合体と共局在しないことが明らかとなった。したがって、減数分裂初期の軸構造は、コヒーシンとHORMAD1からなる複合体とSCはそれぞれ異なるメカニズムで染色体にロードされることが示唆された。一方で、Hormad1、Rec8、Rad21Lそれぞれの遺伝子の機能を欠損したマウスの解析から、減数分裂前期の初期においてHORMAD1とRAD21Lは相互依存的に核に局在し、REC8の軸への局在はHORMAD1とRAD21Lにほとんど依存しないことが明らかとなった。しかし、減数分裂前期の後期において、それぞれの遺伝子の欠損は、お互いの軸への局在に顕著な異常を引き起こさないことも明らかとなった。以上のことから、減数分裂前期において、軸形成は発生段階に応じて構成因子は相互作用の様式を変化させながら進行することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記の通り、29年度は計画したHORMAD1と相互作用因子との時空間的な局在および依存性を、生化学的および細胞学的な実験により明らかにしている。さらに本年度は、HORMAD1を含むHORMAドメインを持つタンパク質は活性化するためにC末端部位が必要と考えられているが、HORMAD1におけるC末端の機能を探索するためにC末端を欠損した変異マウスを作成した。そして、31年度はこのマウスを詳細に解析することで、HORMAD1が持つ機能の分子メカニズムの一端の解明が期待される。したがって、29年度に計画した以上の進展があると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
上記で示したHORMAD1のC末端を欠損したマウスの解析を、主に細胞学的および生化学的な実験手法により進め、これまでに明らかにしたHORMAD1が持つと思われる機能との関係を明らかにする。そして、これまでの研究内容を国内学会および国際学会で発表し、成果をまとめ国際雑誌への投稿を行う。
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Causes of Carryover |
30年度予算のうち実支出額と予定額との若干の差があったため、少額の残額が発生した。31年度予算は、HORMAD1のC末端を欠損したマウスを用いた細胞学的および生化学的な実験に必要な消耗品の購入、研究成果の学会発表および論文掲載料に使用する予定である。
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