2017 Fiscal Year Research-status Report
非蜜源作物に対するニホンミツバチによる加害行動の解明
Project/Area Number |
17K15397
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
横井 智之 筑波大学, 生命環境系, 助教 (80648890)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 成分抽出 / 出巣個体 / 採餌時間 / レタス品種 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ニホンミツバチによるレタス食害度の定量調査およびレタス抽出物に対する選好性実験、植物体に含有される成分特定のための化学的分析による研究を行なうことで、ニホンミツバチにおける新たな植物成分利用の意義を解明する。平成29年度は、ニホンミツバチのレタスの利用行動を解明するために、栃木県茂木町のレタス畑において春季(5月)と秋季(10月)に野外調査を行ない、畑周辺の巣からレタスへの出巣個体の飛来時刻と滞在時間、飛来個体数を記録した。その結果、飛来行動が見られるのは秋季のみで、午前10時から飛来数は増加し12時をピークに減少して17時過ぎには飛来しなくなったことが分かった。畑に植えられていた結球タイプ(玉レタス)と非結球タイプ(サニーレタス)の2品種において飛来数を比較したところ、非結球タイプへの飛来個体数の方が多かった。ただし、滞在時間については品種や訪問時刻による差はみられなかった。これにより飛来個体は品種による選好性を示す可能性があることを示唆できた。さらに、植物体に含有されている成分抽出を行なった。まず秋季に採取したレタス株を部位ごとに湿重量を計測し、80℃の乾燥機で2日間乾燥させた後にデシケーターへ入れ、乾燥重量を計測した。その結果をもとに、次に高速液体クロマトグラフィー(HPLC-DAD及びMS)を用いた化学分析を行なっており、現在、植物含有成分の特定とニホンミツバチ体内におけるレタス由来物質の摂取量を確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、レタス株内に含有されている成分について、高速液体クロマトグラフィー(HPLC-DAD及びMS)を用いた化学分析を行なっている。平成29年度の研究で分析方法をおおむね確立させており、平成29年秋季採取レタスおよび30年春季採集レタス株間での成分比較を行なうことで、レタス含有成分の季節変動について確認する予定である。また春季のニホンミツバチの巣より出巣個体を採集し、腸内に何らかの植物基質が摂取されていないかを確認する。併せて、出巣個体に対して候補物質を人工的に摂取させる方法も確立しており、この手法を用いてレタス含有成分に対するミツバチ個体の反応を調査する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、レタスに含有されている成分を分析しているが、これに加えてレタス表面から発せられる揮発成分についても解析する方法を検討している。手法自体はすでに確立しているものを応用するため、解析準備については問題ない。現在、関係する研究機関と実験手順などの調整を行なっている。平成30年度はミツバチ個体の腸内にレタス含有物質が存在するかどうか確認する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は、調査旅費に係る旅費および分析に使用する機材のセッティングに係る費用が想定より低い金額に抑えられたことにより次年度使用額が生じた。ただし次年度は分析用薬品類が当初予定よりも種類が多くなるために、今年度額を次年度の物品費として利用する予定である。また、調査回数を増やすことで解析サンプル量を増やし、精度を上げる。
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Research Products
(2 results)