2017 Fiscal Year Research-status Report
Copper-catalyzed C(sp3)-H functionalization for the synthesis of various heterocyclic compounds
Project/Area Number |
17K15418
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊田 佳菜子 東北大学, 薬学研究科, 助教 (30748504)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | β-ラクタム / 炭素-水素結合官能基化 / 複素環化合物 / 銅触媒 / 酸化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
通常不活性な炭素-水素結合を遷移金属を用いて触媒的に切断し,直接的に炭素-ヘテロ原子 (窒素,酸素,硫黄等) 結合を形成する反応は,あらかじめ基質にハロゲン等の官能基を導入する必要がないため,アトムエコノミーかつステップエコノミーに優れた有用な手法であり,現在活発に研究が行われている.本研究では,その中でも報告例の少ないsp3炭素-水素結合の官能基化に着目し,これを分子内反応へと適用することで含sp3複素環化合物の効率的な合成法の開発を行った. その結果,N,4-diphenylbutanamide類に対して,銅触媒と過酸化物を用いる分子内炭素-水素結合官能基化反応を適用することで,γ-ラクタムではなく,γ-ラクトンの生成が確認された.これは,アミドの酸素原子から環化が進行したために生成したと考えられる.また,アルキル基の炭素鎖が一つ短いN,3-diphenylpropanamide類を基質とすると,炭素-窒素結合が形成され,β-ラクタム環のみが構築されることが分かった.β-ラクタムはペニシリンに代表される抗生物質等に多く見られる骨格であり,効率的にβ-ラクタムが合成可能な本反応系の開発は重要であると考えられる.そこで,反応条件の精査を行った結果,塩化銅(II),DMAP,ジ-tert-ブチルペルオキシドを組み合わせて用いることで収率が向上し,良好な収率で目的の環化体が得られることが判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」の項で記述したように,銅触媒を用いた酸化的sp3炭素-水素結合官能基化により,β-ラクタム,γ-ラクトン類が合成できることを見出しており,研究は順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
広範な基質に対し分子内sp3炭素-水素結合官能基化を行うことで,様々な含sp3炭素複素環化合物の開発を可能にする.さらに,本プロセスをより実践的で有用な含sp3炭素複素環化合物合成法に発展させるため,不斉合成や生理活性物質の合成への展開も同時に推進していく.
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Research Products
(10 results)