2017 Fiscal Year Research-status Report
アミドアニオンが拓く高活性1電子移動型カップリング反応
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17K15419
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
重野 真徳 東北大学, 薬学研究科, 講師 (30571921)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アミドアニオン / 1電子移動 / クロスカップリング |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、系内発生アミドアニオンを用いた、1電子移動型反応によるハロゲン化アレーンとC-Hアレーンのカップリング反応系の構築に取り組み、以下の成果を得た。まず、ヨウ化アレーンとピラジンをモデル基質として条件を精査した。その結果、4級アンモニウムのフッ化物塩がアミノシランの活性化剤として特に効果的であり、さらに極性分子(アセトニトリル、ジメチルスルホキシド等)の添加で大きく収率が向上することを見出した。本反応系では、電子豊富・不足のいずれのハロゲン化アレーン(4-ヨードアニソール、4-クロロヨードベンゼン、1-シアノ-4-ヨードベンゼンなど)を用いた際にも、ピラジンとのカップリング反応が効率的に進行することを示した。ピラジンの代わりに、キノキサリン、ピリジン、ピリダジン等のヘテロアレーンでも効率的に反応が進行することを示した。また、TEMPOやGalvinoxyl等のラジカル阻害剤の添加によって反応が停止したこと、強度の大きなEPRスペクトルが得られたことなどから、当初の作業仮設の1電子移動型反応で進行しているものと考えている。さらに、競争実験により、電子不足なC-Hアレーンの共存下では、電子豊富なC-Hアレーンの反応性が大きく向上することも見出した。電子豊富なC-Hアレーン単独の反応では低収率に留まっていたが、電子不足なC-Hアレーンを触媒として添加することで、収率向上が図れることを示す結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始時の予定通り、カップリング反応系の最適化、基質適応範囲の検討、および反応機構解析を進め、系内発生アミド塩基が1電子移動型クロスカップリング反応に有効であることを示した。さらに、当初は予期していなかったが、電子不足なC-Hアレーンを添加することで、電子豊富なC-Hアレーンにも反応を展開できることを明らかにした。この知見は、生成物の収率向上や基質適応範囲の拡大に役立つものと考えている。これらのことから、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本反応系で低収率に留まる電子豊富なC-Hアレーンをより効率的に反応させるために、電子不足なピラジン、キノキサリン、フェナジン等の添加効果を検討する。電子豊富なC-Hアレーンがこれらの電子不足なπ電子化合物と錯形成することで、ヨードアレーンから生じるアリールラジカルとのカップリングが円滑に進行するものと考えている。加えて、今回の反応系を塩化アレーン類のカップリング反応、あるいはC-Hアレーン以外のカップリングパートナー(ヘテロ元素化合物やオレフィン類)との反応に展開することを目指す。
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Research Products
(20 results)