2017 Fiscal Year Research-status Report
Direct, catalytic , and site-selective phosphorylation of hydroxy group using molecular recognition and dynamic covalent bonding
Project/Area Number |
17K15420
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山次 健三 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (30646807)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リン酸化 / ATP / ホスホエノールピルビン酸 / 水酸基 |
Outline of Annual Research Achievements |
リン酸モノエステルは生理活性物質に見られる重要官能基であるため、その効率的合成法の確立は重要である。また、対応する水酸基から物性を劇的に変化させるため、合成後期あるいは最終段階で効率的かつ直接的に無保護のリン酸モノエステルを導入する反応は、物質を新規生理活性物質へと効率的に変換するのに有用である。しかしながら、官能基化された基質に広く適用可能な一般的な方法は存在しない。本研究では、アデノシル三リン酸などの生体内リン酸ドナーを認識・活性化する部位と基質分子を動的に認識する部位を併せ持つ分子が、近接効果によって効率的かつ位置選択的に水酸基の無保護リン酸モノエステル化反応を触媒すると仮説を立て、これにより一般性高く適用可能なリン酸モノエステル化法を確立することを目指している。 本年度は当初の計画通り、upper rimにグアニジノ基やアミノ基を持つ各種カリックスアレーン分子を合成し、それらがアデノシル三リン酸(ATP)やホスホエノールピルビン酸(PEP)から分子内の水酸基にリン酸基を転移できるかを検討した。その結果、upper rimに置く官能基としてはグアニジノ基が、リン酸ドナーとしてはホスホエノールピルビン酸が優れていることがわかり、分子内の水酸基を67%収率でリン酸化できることを明らかとした。本法はATPやPEPを活性化してそのリン酸基を水酸基に非酵素的に転移させる世界初の方法である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ATPやPEPを活性化するモチーフを見出し、それによってATPやPEPから分子内水酸基へと効率的にリン酸基を転移させる方法を開発できたから。さらに、次年度で目標としている触媒化へ向け、効率は未だ不充分であるが分子間反応でも反応が進行するという予備的な知見を得ることができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在分子内反応で行なっているリン酸化反応を分子間かつ触媒的な反応へと発展させる。具体的には基質に存在する官能基と触媒との間の動的共有結合交換によって、擬似分子内反応へと導くことで、分子間反応および触媒化の達成を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、本研究開始以前の予備検討の際に取り揃えた器具・試薬などで十分な実験が出来た。そのため、本年度に使用を予定していた額を、翌年度分として請求した助成金と合わせて使用する。翌年度は、研究のさらなる進展によって多様な試薬、器具が必要となることが予想されることから、それらの購入に重点的に使用する予定である。
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