2019 Fiscal Year Annual Research Report
Direct, catalytic , and site-selective phosphorylation of hydroxy group using molecular recognition and dynamic covalent bonding
Project/Area Number |
17K15420
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山次 健三 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (30646807)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | リン酸化 / 水酸基 / 触媒 / ホスホエノールビルビン酸 / ブレンステッド酸 / 求核触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
リン酸モノエステルは生理活性物質に見られる重要官能基であるため、その効率的合成法の確立は重要である。また、対応する水酸基から物性を劇的に変化させるため、合成後期あるいは最終段階で効率的かつ直接的に無保護のリン酸モノエステルを導入する反応は、物質を新規生理活性物質へと効率的に変換するのに有用である。しかしながら、官能基化された基質に広く適用可能な一般的な方法は存在しない。本研究では、アデノシル三リン酸(ATP)などの生体内リン酸ドナーを認識・活性化する部位と基質分子を動的に認識する部位を併せ持つ分子が、近接効果によって効率的かつ位置選択的に水酸基の無保護リン酸モノエステル化反応を触媒すると仮説を立て、これにより一般性高く適用可能なリン酸モノエステル化法を確立することを目指している。 本年度は、前年度までに見出したホスホエノールピルビン酸(PEP)をリン酸ドナー、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(TBAHS)を触媒とする触媒系が極めて高い官能基許容性と基質一般性を示すことを、低分子医薬品、糖、ペプチドなどを基質として用いることで実際に示すことに成功した。さらに核磁気共鳴装置、質量分析装置、DFT計算を併せた反応機構解析により、TBAHSはブレンステッド酸として働くとともに、求核触媒としても働き、前例のないリン酸化活性種であるPOSOPを生成することでリン酸化反応を促進していることを明らかにした。これらの結果をまとめて論文として発表した。
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