2017 Fiscal Year Research-status Report
コバルトヒドリドを利用したオレフィンのヒドロ官能基化反応における網羅的不斉化検討
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17K15426
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
重久 浩樹 武蔵野大学, 薬学研究所, 講師 (60612471)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 不斉合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、申請者が独自に開発したオレフィンの活性化法に対して不斉触媒を適用することによって、医薬品研究で重要な光学活性飽和環状化合物群の新規合成法を開発することである。具体的には、不斉触媒の構造を最適化することによって環化成績体の高エナンチオ過剰率を達成し、新たな触媒的不斉環化反応の概念を確立する。その上で本概念の実用性を高めるため「多様な環化形式への展開」、「中員環形成を含めた多種基質への適用」、「生物活性物質や天然物の合成」も視野に入れた研究を実施する。 平成29年度は研究計画に従い、コバルト触媒反応の環化成績体を高エナンチオ選択的に得る条件を探索するところから始めた。容易に入手可能もしくは合成可能なキラルコバルト錯体を数十種類用意し、オレフィンの分子内ヒドロアルコキシル化反応に適用した。溶媒や試薬も最適化することによって現在までに中程度のエナンチオ選択性で環化成績体を得ている。 特に錯体のスクリーニングによって本不斉反応に適した錯体群を絞り込むことに成功している。その配位子もチューニングが容易なことから、今後高エナンチオ選択性を獲得するために有用な知見を得たと考えている。 さらに生成物の絶対配置を決定するために、生成物を絶対配置既知化合物から別経路で合成した。比旋光度およびHPLCの保持時間を比較することによってコバルト触媒反応成績体の絶対配置を決定することに成功した。この手法によって本研究で合成する予定の分子内ヒドロアルコキシル化反応成績体の多くの絶対配置を決定することができ、不斉発現の議論に役立つと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度に実施した分子内ヒドロアルコキシル化反応の検討では中程度ながらエナンチオ選択性を見出しているが、当初予定していなかった本反応系に対する酸素の影響により再現性の問題が生じることが分かった。我々はその問題を克服するためにかなりの時間を要した。酸素を除去する実験方法を確立してから、安定した結果を得ることができるようになった。今後は反応条件の最適化研究を再開し高エナンチオ選択性を目指すこととする。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、錯体、溶媒、試薬をスクリーニングすることによって高エナンチオ選択的に目的物を得る反応条件を模索する。その後はまず分子内ヒドロアルコキシル化反応における適用範囲を調査、さらに不斉発現のメカニズムを調査する予定である。
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Causes of Carryover |
3141円という残額は実質0円だが、次年度に必要な試薬を購入する予定である。
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