2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the chiral recognized graft polymer catalyst and application to the Flow Reactor.
Project/Area Number |
17K15429
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Research Institution | Yokohama College of Pharmacy |
Principal Investigator |
奥野 義規 横浜薬科大学, 薬学部, 准教授 (90449405)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 固定化触媒 / フロー反応 / グリーンケミストリー / 不斉触媒 / グラフト重合 / ヘリカル高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の高分子不斉触媒は、強度、重合度、立体選択性に問題があると考えられる。しかし、それらの特徴とは異なり、電子線グラフト重合法によるグラフト高分子型不斉触媒は、幹ポリマー上で安定化された不斉触媒が最適な不斉反応場を構築しており、従来の高分子不斉触媒とは異なる概念を持つ高分子不斉触媒を形成する。この新しい概念を有する高分子不斉触媒 (グラフト高分子型不斉触媒) の実用性・再利用性・耐久性を明らかにする為、本研究に取り組んできた。本研究室で開発したグラフト高分子型BINOL は、benzaldehydeに対する Et3Al の不斉アルキル化反応において、収率 94%, ee 84%という良好な結果を示した。また、適切な洗浄を行ことでグラフト高分子型BINOLの再利用が可能になることが判明した。クエンチの際に生じるTiO2のグラフト型高分子への影響を抑え、酸によってBINOLに配位しているTi(O-i-Pr)2 を解離することで再利用が実現可能となった。さらに、その洗浄後に複数回の再利用を行い、最低6回の耐久性を示した。この際、収率、eeの顕著な低下は見られず、さらに多くの再利用が可能であると考えられた。 しかし、以降の実験では、予期せぬ重合禁止剤の混入によりグラフト高分子型BINOLの重合率が低い結果となってしまい、その後のグラフト高分子型BINOLの実験は進行していない。
そこで、同時に高アイソタクチックヘリカルグラフト型高分子の合成に着手しており、トリフェニルメチルメタクリルアミドモノマーの合成とその放射線グラフト重合を行った。結果、グラフト率10%とあまり好ましくない重合率となってしまったが、ヘリカルグラフト型高分子の合成に成功している。このヘリカル構造は、高分子特有の構造であり高分子の機能発現にとって非常に重要である。このヘリカルグラフト型高分子合成の成功は、今後様々な触媒の不斉反応を活性化するものと考える。
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