2017 Fiscal Year Research-status Report
エピジェネティック修飾シトシンを含むオリゴ核酸の実用的合成法の開発
Project/Area Number |
17K15431
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
伊藤 勇太 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (90783225)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | エピジェネティック修飾シトシン / 5-トリフルオロメチルシトシン / オリゴ核酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
エピジェネティック修飾シトシンを含むオリゴ核酸を簡便に得るため、フッ素化されたメチル基をエピジェネティック修飾前駆体として利用する合成法を検討した。 まず、フッ素化されたメチル基としてトリフルオロメチル基を用いることとし、5-トリフルオロメチルシチジンのホスホロアミダイト体の合成を行った。その結果、市販の2´-デオキシシチジンから6工程で5-トリフルオロメチルシチジンのホスホロアミダイト体を得ることに成功した。続いて、これをDNA合成機を用いてオリゴ核酸へと導入した後、炭酸カリウムのメタノール溶液を用いて固相担体からの切り出しと脱保護を行うことで、5-トリフルオロメチルシトシン含有オリゴ核酸を合成した。 目的のオリゴ核酸が得られたので、次にトリフルオロメチル基の加水分解反応を検討した。5-トリフルオロメチルシトシン含有オリゴ核酸を水酸化ナトリウム溶液で処理したところ、期待通り加水分解が進行し、エピジェネティック修飾シトシンの一つである5-カルボキシシトシンの合成に成功した。一方、オリゴ核酸を濃アンモニア水で処理するとトリフルオロメチル基がニトリルへと変換された。さらに、メチルアミンやピロリジンを用いた場合には対応するアミド体が得られることが明らかとなった。 以上のように、オリゴ核酸中の5-トリフルオロメチルシトシンをエピジェネティック修飾シトシンである5-カルボキシシトシンへと変換することに成功した。また、同オリゴ核酸をアミン類で処理することによりトリフルオロメチル基を様々な官能基へと誘導できることも見出した。従来、人工オリゴ核酸を多種類合成するためにはモノマー合成、オリゴ核酸合成、固相担体からの切り出しと精製のサイクルを繰り返さなければならないが、本法は1種類のオリゴ核酸から様々な誘導体を単工程で合成できるため、効率的な手法である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の計画に記載したフルオロメチル化されたシチジンのホスホロアミダイト体の合成とオリゴ核酸への導入、さらに得られたオリゴ核酸を用いたエピジェネティック修飾シトシン含有オリゴ核酸への変換を達成できたことから、本研究は順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度はオリゴ核酸中の5-トリフルオロメチルシトシンを5-カルボキシシトシンへと変換することに成功したので、平成30年度はジフルオロメチル基やモノフルオロメチル基の簡便な導入法を開発し、5-ホルミルシトシンや5-ヒドロキシシトシンへの変換を試みる予定である。 また、上記検討によりエピジェネティック修飾シトシン類の簡便な合成法が開発できれば、オリゴ核酸中のシトシンの位置選択的修飾法の開発へと展開する。具体的には、オリゴ核酸の二重鎖や三重鎖形成能を利用し、シトシン塩基の反応性を適切にコントロールすることにより望みの位置でのフルオロメチル化が達成できると考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額(B-A)は64円であり、計画通り使用していると考えている。
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Research Products
(2 results)