2017 Fiscal Year Research-status Report
高速AFMによる古細菌由来MCMタンパク質複合体の観察
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17K15433
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
能代 大輔 金沢大学, バイオAFM先端研究センター, 博士研究員 (90751107)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヘリカーゼ / ATPase / 高速AFM / 観察基板 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA複製は、二本鎖DNAが一本鎖DNAに分離され、それぞれの鎖を鋳型に新生鎖が合成される過程である。MCM (minichromosome maintenance) タンパク質は、複製開始から複製フォークを形成する段階において重要であり、六量体リングを形成してATPの加水分解エネルギーを用いて二本鎖DNAを一本鎖DNAに分離するヘリカーゼとして働く。古細菌由来のMCMタンパク質はホモ六量体のリングを形成し、ヘリカーゼ活性を発揮することが知られている。本研究では、古細菌由来のMCMタンパク質六量体リングがATPを利用してどのように二本鎖DNAを一本鎖DNAに分離させているのかを高速AFMを用いて直接観察し、動的プロセスを解明することを目的とする。 これまでに、古細菌M. thermoautotrophicum 由来のmthMCMタンパク質、S. solfataricus由来のssoMCMタンパク質、及びAvi-tagと呼ばれる15アミノ酸からなる配列中のリジン残基にビオチンを導入できるビオチンリガーゼの調製を行った。mthMCMタンパク質にビオチンを導入するため、C末端にAvi-tagを付与し、ビオチンリガーゼを用いてビオチン化を行った。また、観察基板として、ストレプトアビジンと同程度のビオチン結合能を有するタマビジン2の二次元結晶をマイカの上に直接形成させる方法を開発した。タマビジン2の二次元結晶上にはビオチン化されたタンパク質のみを固定することができ、またマイカの影響を受けることなくタンパク質のダイナミクスを観察することができる。高速AFM観察の結果、ビオチン化mthMCMタンパク質の六量体リングが、タマビジン2の二次元結晶上に横倒しの状態で固定されることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのビオチン化サンプルの固定用基板としてはストレプトアビジンの二次元結晶が用いられてきたが、ストレプトアビジンの二次元結晶はマイカの上に直接形成させることはできず、ビオチンを含む脂質膜をマイカの上に張る必要があり、数時間から1日費やさなければならなかった。 しかしながら、本研究課題の遂行過程において、ストレプトアビジンと同程度のビオチン結合能を有するタマビジン2の二次元結晶を、マイカの上に直接形成させる方法を見出した。この発見は当初の予定にはなかったことであるが、これにより、ビオチン化サンプル用の基板を40分程度で作製することが可能になり、本研究課題を遂行しやすくなった。実際、C末端をビオチン化したmthMCMタンパク質の六量体リングをタマビジン2の二次元結晶上に横倒しに固定することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでにタマビジン2の二次元結晶上に、mthMCMタンパク質を横倒しの状態でAFM観察する方法を見出した。今後は、固定したmthMCMタンパク質六量体のATP存在下での構造変化の観察や、二本鎖DNAとの相互作用の観察を行う予定である。 また、ssoMCMタンパク質についても同様にC末端にビオチンを導入することにより、タマビジン2の二次元結晶上に固定できるか確認し、ATP存在下や二本鎖DNA存在下でのmthMCMタンパク質六量体との違いを観察する予定である。 本研究を通じて開発したタマビジン2の二次元結晶の作製法は新しいAFM観察用の基板として有用であると考えられるため、論文としてまとめる予定である。
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Research Products
(3 results)