2017 Fiscal Year Research-status Report
アミロイド線維の伸長末端の3次元構造情報に基づく重合機構の理解および創薬展開
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17K15441
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
矢木 真穂 分子科学研究所, 生命・錯体分子科学研究領域, 助教 (40608999)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アミロイド線維 / アミロイドβ / 核磁気共鳴 / 電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
アミロイドβタンパク質(Aβ)は、βシート構造が規則正しく多数積み重なったアミロイド線維を形成して脳内に蓄積することにより、アルツハイマー病の発症を惹起すると考えられている。しかし、これまでに線維伸長を誘起するタンパク質間相互作用の実体を分子構造論の観点から捉えた研究例はない。申請者は、アミロイド線維の"伸長末端"に特異な柔構造が形成されているものと想定し、核磁気共鳴(NMR)法や電子顕微鏡による単粒子解析法を用いて、Aβ線維の伸長末端という特異点の動的立体構造を解明する。得られた精密構造情報に基づき、線維の伸長末端を標的とした創薬基盤の構築へと展開することを目指す。 本年度は、NMR解析および電子顕微鏡解析を行う上で必要となる構造的均一性の高いアミロイド線維断片を調製した。チオフラビンT蛍光を指標としたアミロイド線維形成に関する速度論解析に基づき、構造的に均一なアミロイド線維を調製するための条件検討を行った。また、線維の均一性を高めるため、地上で調製したアミロイドβ試料を実際に宇宙に打ち上げ、国際宇宙ステーション「きぼう」にて、微小重力環境下におけるアミロイド線維形成反応を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に計画していた、構造解析を行う上で必要となる構造的均一性の高いアミロイド線維断片の調製およびその条件検討に関しては予定通り達成した。 また、線維の均一性を高めるため、国際宇宙ステーション「きぼう」を利用した微小重力環境下におけるアミロイド線維形成に関しても予定通り実施し、現在予備的な構造解析を実施しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
微小重力環境下で調製したアミロイド線維に関して、固体NMR法および電子顕微鏡を用いて構造解析を行う。また、目的のアミロイド線維断片を選別するために、特定の3次元構造を形成したAβのみを特異的に認識するモノクローナル抗体を用い、抗体が結合し得る特定の 3次元構造を形成したAβ線維断片を可視化することを試みる。
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