2017 Fiscal Year Research-status Report
T 型カルシウムチャネルによる神経新生調節機構の解明 と創薬研究
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17K15456
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢吹 悌 東北大学, 薬学研究科, 助教 (70756121)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経薬理学 / T 型カルシウムチャネル / 神経新生 / うつ様行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では T 型カルシウムチャネル賦活薬 SAK3 の抗うつ作用・神経新生のメカニズムおよび T 型カルシウムチャネルのうつ様行動・神経新生における生理機能を明らかにすることを目的とし、研究をおこなった。 Cav3.1 T 型カルシウムチャネル欠損マウス海馬歯状回において神経新生が低下していることを見出した。また、Cav3.1 T-型カルシウムチャネル欠損マウスでは新生細胞の増殖および生存能どちらも低下していた。Cav3.1 の海馬歯状回における局在について検討したところ、神経幹細胞のマーカーである nestin および未成熟細胞のマーカーである DCX と共局在を示した。これらのことは Cav3.1 から流入するカルシウムイオンが神経新生に直接影響を与えている可能性がある。実際に細胞増殖・生存に重要なプロテインキナーゼである Akt リン酸化反応は低下していた。 一方、T 型カルシウムチャネル賦活薬 SAK3 投与により、モノアミン遊離が促進した。SAK3 の作用は T 型カルシウムチャネル阻害薬 NNC 55-0396 (1 μM) 処置により抑制された。SAK3 はアセチルコリン遊離を促進するが、モノアミン遊離促進作用はニコチン性アセチルコリン受容体拮抗薬でも阻害された。 以上の結果は、T 型カルシウムチャネルは直接および間接的に新生細胞の増殖・生存に関与していることを示唆している。 また、研究成果を3つの国内学会にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り実験が進んでいる。SAK3 の抗うつ作用に関する論文は現在投稿中である。Cav3.1 欠損マウスにおける解析は遺伝子レベルでの解析を行い、本年度中に論文を作成し、投稿予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
Cav3.1 のうつ様行動および社会性行動などの行動薬理試験による解析を行う。難治性うつ病モデルマウスを用い、SAK3 の抗うつ作用について検討する。In vivo マイクロダイアリシスを用い、興奮性神経伝達物質グルタミン酸および抑制性神経伝達物質GABA遊離に対する SAK3 の作用を検討する。また、Cav3.1 T 型カルシウムチャネル欠損マウスの神経新生低下のメカニズムについてより詳細な検討を行う。
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[Journal Article] The Disease-modifying Drug Candidate, SAK3 Improves Cognitive Impairment and Inhibits Amyloid beta Deposition in App Knock-in Mice.2018
Author(s)
Izumi H, Shinoda Y, Saito T, Saido TC, Sato K, Yabuki Y, Matsumoto Y, Kanemitsu Y, Tomioka Y, Abolhassani N, Nakabeppu Y, Fukunaga K.
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Journal Title
Neuroscience.
Volume: 377
Pages: 87-97
DOI
Peer Reviewed
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