2018 Fiscal Year Annual Research Report
The effects of PHD inhibitor on tumor blood vessel normalization
Project/Area Number |
17K15459
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
松永 慎司 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30704910)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 薬理学 / 血管正常化 / 腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍組織内は脆弱な血管が不規則に走行しており血流に乏しい。そのため、抗癌剤の組織分布も悪く、抗癌剤が効きにくい組織環境となっている。これまでにマウス腫瘍移植モデルにおいてプロリル水酸化酵素(PHD)阻害薬を投与すると腫瘍内血管の新生・再構築が生じ、抗癌剤感受性が増強されることを見出している。しかしながら、この現象の細胞・分子機構の詳細については不明である。本研究は、PHD阻害薬による抗癌剤感受性を増強する腫瘍血管の新生・再構築機構を明らかにすること目的に行った。平成29年度には、PHD阻害薬による血管新生・再構築に寄与する細胞について解析・検討を行った。PHD阻害薬投与により変化する細胞集団の一つとして、血管新生にも関与していると考えられている免疫系の細胞であるマクロファージを見出した。平成30年度は前年度に得られた結果からPHD阻害薬投与後の腫瘍内マクロファージの詳細解析を行った。またPHD阻害薬の投与量を増量することでより強力な血管再構築が誘導されるとことも明らかとなったことからPHD阻害薬を増量し検討を行った。PHD阻害薬投与後の腫瘍内マクロファージ集団を解析することで血管構築に関与しているマクロファージ分画を同定した。また、PHD阻害薬投与前に腫瘍内マクロファージを低下させるとPHD阻害薬による血管再構築が阻害されることが示唆された。同定したマクロファージ分画を単離し、マウス移植腫瘍へ投与することで血管再構築が生じることが示唆された。これらの結果からPHD阻害薬による腫瘍内血管構築には同定したマクロファージ分画が関わっていることが示唆された。腫瘍血管を機能的に再構築するには同定した細胞分画が必要因子と考えられる。本研究結果は腫瘍内血管を再構築し、効率的な抗癌剤治療を行うための治療法の開発に繋がることを期待する。
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Research Products
(3 results)