2018 Fiscal Year Research-status Report
病態形成メカニズムに基づいて展開した感音難聴に対する薬物治療法の確立
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17K15462
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
山口 太郎 摂南大学, 薬学部, 助教 (30710701)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | カルパイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、我々による既報の内耳保護薬とカルパイン阻害薬との組み合わせによって、従来よりもさらに高い内耳保護効果を得ることを目的とする。また、新規難聴治療標的の探索についても行うことも目的の一つである。本年度は、新たな難聴治療標的分子として、Na+,Ca2+交換体を阻害する薬剤が音響外傷性難聴に対して治療効果の詳細な解析を行った。 音響曝露前に薬剤を腹腔内投与し、音響曝露による聴覚障害を防ぐことができるか否かについて検討した。その結果、完全ではないものの有意に聴覚障害を軽減する結果が得られた。このNa+,Ca2+交換体は、フォワードモードとリバースモードと2つのモードがあり、これらは輸送方向が逆転することが知られる。リバースモードでは、細胞内にCa2+が流入する。本申請課題にも掲げたカルパインはCa2+によって活性化することから、これらが関連する可能性が考えられた。 また、リバースモードのみを阻害する薬剤の腹腔内投与では音響外傷性難聴を軽減する効果は得られなかった。薬剤の内耳到達率が低い可能性を鑑み、内耳局所投与により検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大阪府北部地震等により動物施設の改装整備等で、実験が遅滞したが概ね順調に解析を進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
Na+,Ca2+交換体とCa2+流入とカルパインの関係性をin vitro実験系、in vivo実験系にて明らかにし、音響外傷性難聴発症メカニズムをより詳細に解明する。
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Causes of Carryover |
本年度は、地震等の影響で、一時、実験が停滞しましたのでその分を次年度に繰り越して研究を遂行する予定です。
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