2019 Fiscal Year Annual Research Report
Compensatory increase in sleep is a novel therapeutic application for depression
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17K15463
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
村田 雄介 福岡大学, 薬学部, 助教 (90461508)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 断眠処置 / 過眠 / 海馬 / neurotensin / 経時的変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、一過性の睡眠不足後に見られる「過眠」を、生体に備わる心身回復システムとみなし、その回復反応に関わる分子生理学的要因の同定を通じて、精神神経系疾患に対する新規治療薬のプラットフォーム構築を目指すことである。 最終年度である当該年度では、96時間の断眠処置およびその後の過眠誘発ラット(6時間後および72時間後)海馬におけるmRNA発現量を、マイクロアレイ法にて網羅的に解析した。その結果、複数の遺伝子について、断眠処置による変化、その後の過眠による変化、断眠処置でも過眠条件でも起こる変化、といったパターンでの変化を発見することができた。 興味深いことに、断眠処置で増加し、過眠発現早期では標準に戻り、過眠発現中期には減少する因子として、neurotensin(Nts)が発見された。neurotensinには2つのサブタイプを持つ受容体(Ntsr1, Ntsr2)が存在するため、断眠処置と過眠条件でのラット海馬におけるそれぞれの遺伝子発現量を定量PCR法にて評価したところ、Neurotensin遺伝子mRNAについてはマイクロアレイで得られた結果と同等のものが確認できた。一方、Ntsr1およびNtsr2遺伝子mRNA発現量には群間で有意な差は見られなかった。 当該年度の研究結果から、睡眠不足による海馬神経機能の低下やその後の過眠による神経回復において、海馬neurotensinが重要な役割を示す可能性が示された。
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