2017 Fiscal Year Research-status Report
Study of drug discovery seeds for diabetes and obesity
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17K15465
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉本 幸子 広島大学, 医歯薬保健学研究科(薬), 准教授 (60549012)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Hosiea japonica Makino / 抗糖化抑制 / フェニルプロパノイド |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満症および糖尿病は、患者のQOLを大きく損なうだけでなく、脳梗塞・網膜症・腎症などといった重大疾患の要因となるリスクの高い疾患である。また、肥満症や糖尿病とそれらが誘発する慢性疾患は、医療費の増加の大きな要因にもなっていることから、身体的・経済的両面からその予防・治療が重要な課題となっている。そこで本研究では、肥満症および糖尿病の予防・治療に有効な新たな医薬シーズと創薬標的分子の開発を目的とする。そのために天然物エキスから抗肥満・抗糖尿病活性を見出し、その活性物質の単離・構造解析・作用メカ ニズム解析までを行う。特に本研究では、線虫やカイコといった高等生物を疾患モデルとして用いることで、人に対して効果を示す可能性の高い医薬シーズの探索を目的としている。平成29年度では当研究室に保有する800種近くの植物サンプルについて、抗糖化抑制活性を試験し、80%阻害率(終濃度:100ug/ml)を示すエキス19種の同定を行い、そのうち100ug/mlにおいて89%阻害を示したクロタキカズラ(Hosiea japonica Makino)の蔓の成分探索に着手した。クロタキカズラは名は最初の発見地高知県の黒滝山に由来する。近畿地方以西の本州、四国、九州の山地の林内に生える日本原産の植物である。これまでに各種カラムクロマトグラフィーを用いて精製し、3種のフェニルプロパノイド化合物、1種のアルカロイド、1種のジテルペンなどを単離し、物理化学データより構造決定を済ませ、またそれらについて抗糖化抑制活性試験を行ったところ、フェニルプロパノイド類に活性が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カイコを用いた活性試験を行う前段階として、抗糖化抑制活性について800種近いスクリーニング試験から、阻害率の高い植物を19種に絞り、その中でもこれまで薬理作用や含有化合物が未詳であったクロタキカズラについての成分探索を行い、活性化合物を単離・構造決定できたため、おおむね順調に進んでいるといえる。これらの成果を学術論文としてまとめ、国際的な学術誌に投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
線虫やカイコといった高等生物を疾患モデルとして用いることで、人に対して効果を示す可能性の高い医薬シーズの探索を目標としていることから、今後はカイコを用いて活性試験を行い、実際に人に対して効果があるかどうかを検討していく予定である。また、抗糖化抑制活性だけでなく、αグルコシダーゼ活性も検討し、活性サンプルからの抗糖尿病に効果のある医薬リード化合物を探索するとともに、抗肥満活性については3T3-L1細胞を用いた試験を行い、活性の認められた化合物についてはC.elegansを使って脂肪蓄積抑制活性試験を検討する。
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Causes of Carryover |
NMR用重溶媒や、構造決定に必要な試薬の購入に充てていた助成金ではあるが、本年度、本研究において必要不可欠であるNMR装置が故障のため半年間十分に使用できなかったこと、および次年度も本研究に置いて構造決定をするための重溶媒は引き続き必要であることから、繰り越しはやむを得ないものである。
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Research Products
(9 results)