2018 Fiscal Year Research-status Report
Study of drug discovery seeds for diabetes and obesity
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17K15465
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉本 幸子 広島大学, 医歯薬保健学研究科(薬), 准教授 (60549012)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肥満 / 糖尿病 / 生薬 / 線虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満症および糖尿病は、患者のQOLを大きく損なうだけでなく、脳梗塞・網膜症・腎症などといった重大疾患の要因となるリスクの高い疾患である。また、肥満症や糖尿病とそれらが誘発する慢性疾患は、医療費の増加の大きな要因にもなっていることから、身体的・経済的両面からその予防・治療が重要な課題となっている。 そこで本研究では、肥満症および糖尿病の予防・治療に有効な新たな医薬シーズと創薬標的分子の開発を目的とする。そのために天然物エキスから抗肥満・抗糖尿病活性を見出し、その活性物質の単離・構造解析・作用メカニズム解析までを行う。特に本研究では、線虫やカイコといった高等生物を疾患モデルとして用いることで、人に対して効果を示す可能性の高い医薬シーズの探索を目指す。 C. elegansを用いた脂肪蓄積抑制物質の評価法は、まず、C. elegansの成虫を水酸化ナトリウムと次亜塩素酸に浸けることにより、その受精卵を取り出す。続いて、孵化した幼虫を飢餓状態におくことで生長速度を同調させ、NGM寒天上で大腸菌(OP50)を用いて培養することで生育段階を揃えた成虫を得た。Glucose添加によって、脂肪蓄積することがこれまでに明らかとなっており、成長阻害の見られなかった5mM Glucoseを含む寒天培地上にサンプル、餌の大腸菌と共に成虫を添加し48時間後に蓄積脂肪量を蛍光顕微鏡を用いて定量した。これまでに本手法を用いて約70種の生薬サンプルを試験し、3種の生薬(No.16,67,72)に活性が認められた。中でも、No.16はコントロール群の脂肪蓄積量の1/5程度にまで減少していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
線虫を用いた脂肪蓄積抑制物質の探索については、特に問題であった脂肪蓄積量の定量も解決したことにより、活性試験方法も確立でき、これまでに活性の認められた3種の生薬について、生物活性物質の探索を進めていく予定である。別の生物モデルであるカイコを用いた生物活性物質の探索については再現性が乏しく、現在種々検討中である。しかしながら、線虫を用いた抗肥満活性物質の探索については、今後は申請者の主たるテーマである成分探索を行うため、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に当研究室保有の天然資源ライブラリーからスクリーニングを行い、これまでに脂肪蓄積抑制活性の認められた生薬3種について、令和元年度はNo.16から各種クロマトグラフィーを用いて活性成分の探索を行い、質量分析や核磁気共鳴装置などを用いた各種物理化学データの解析をもとに、その化学構造を決定する予定である。またカイコについては、糖尿病モデルに最適なカイコを今後の検討の中から見出していく。 また生物活性物質の同定ができれば、作用メカニズム解析にも着手する予定である。単離・構造解析される活性物質の中には、その作用メカニズムが未解明のものが含まれると予想される、そのような活性物質の作用メカニズムを解析することは、その活性物質をそのまま利用していく上で重要なだけでなく、新たな創薬標的分子の発見という、創薬の観点から極めて重要な知見が得られる可能性を秘めている。作用メカニズムの解析は、単離された化合物やその類縁化合物に関する過去の報告や、in vivo試験の結果をもとに予想をたて、RT-PCRやWestern Blottingなどを通して検証していく予定である。
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Research Products
(13 results)