2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K15473
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
松本 崇宏 京都薬科大学, 薬学部, 助教 (30780431)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Citrus limon / クマリン / オキシム / リモノイド / 抗遺伝毒性 / トリテルペン |
Outline of Annual Research Achievements |
日常生活において種々の遺伝毒性物質に対する暴露を完全に防ぐことは不可能である事から,抗変異原性物質の摂取は,がんの発症リスクを低減させる手段として意義深いとされている.また,疫学的調査により,野菜及び果物の摂取は種々のがん発症リスクを“ほぼ確実に”低減させることが知られている.そのような背景において,これまで種々の植物より抗遺伝毒性物質の探索研究が行われ,抗酸化作用やラジカル消去能を有する化合物が数多く報告されてきた. それらを踏まえ,これまでに知られている抗遺伝毒性物質とは異なる機能性成分として,トリテルペンに着目した.本研究は,トリテルペン成分を単離し,それらの化学構造,抗遺伝毒性,及びその作用発現メカニズムを明らかとすることで,新たな化学構造およびメカニズムを有するがん予防物質を見出す事を目指す.また,エビデンスに基づいた抗発がん食品の提案も目的としている. 本年度はまず,抽出エキスが抗変異原性を示した日本産レモン (Citrus limon) 果皮について含有成分の探索を行った.その結果,5 種の新規クマリン誘導体,2 種の新規オキシム誘導体,およびリモノイドを含む 15 種の既知化合物を得ることができた.さらに,活性評価を目的とし,2 種の新規クマリン誘導体および1種の新規オキシム誘導体については合成を行った. 次に,レモン果皮より得られた成分および延命草 (Isodon japonicus) 地上部含有成分であるent-kaurane 型ジテルペン類について,Ames試験を用いた抗変異原性評価を行った.その結果,クマリン,オキシム誘導体,リモノイド,およびent-kaurane 型ジテルペン類は種々のヘテロサイクリックアミンに対し,濃度依存的な抗変異原性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本産レモン (Citrus limon) 果皮より 7 種の新規化合物および 15 種の既知化合物を得ることができた.また,抗遺伝毒性評価および構造の確認を目的とし,2 種の新規クマリン誘導体および 1 種の新規オキシム誘導体の合成を行った.さらに,種々のヘテロサイクリックアミンに対し,レモン果皮含有成分および ent-kaurane 型ジテルペン類が濃度依存的な抗変異原性を有する事を見出した. これらの結果は,レモン (Citrus limon) 果皮の摂取ががん予防に寄与する可能性を示すものであるとともに,活性の見られた成分については今後,in vivo 試験を含む種々のバイオアッセイを行う事が可能となった.よって,当初の計画のとおり,順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得ることができた成分の中でも,in vitro 試験において活性の見られたクマリン誘導体,オキシム誘導体,リモノイド,および ent-kaurane 型ジテルペン類について,in vivo 抗遺伝毒性評価を行う. さらに,抗遺伝毒性活性を有する新たなトリテルペン類の単離・精製を目的とし,他の植物においても,含有成分の探索を継続して行う.
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Research Products
(12 results)