2017 Fiscal Year Research-status Report
APサイト修復阻害を基にした抗がん効果増強剤の開発
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17K15482
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
阿部 由紀子 九州大学, 薬学研究院, 助教 (40586856)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | APサイト修復阻害 / 共有結合形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、APサイト親和性向上を目的として基本的な構造単位となる核酸塩基部およびポリアミン部の最適構造を検討し、新規リガンド合成を行った。 ポリアミン部に関しては4,4-トリアミンを有するグアニンリガンドを合成し、APサイトアナログを有する短鎖ODNを用いた融解温度測定およびAPサイト部位特異的切断能に関して検討した。APサイト認識能においては従来のグアニンリガンドと同程度のシトシン選択性を示したがAPサイト切断能は低下した。ポリアミン部と核酸塩基部をつなぐ炭素鎖の長さが原因と考えられ、炭素鎖の伸長により改善されると考えられる。これによりAPサイト部位特異的切断における炭素鎖の重要性が明らかとなった。 核酸塩基部としてチオグアニンを有する新規リガンドに関しては、同様に融解温度測定等により化学的性質を明らかにし、光反応による共有結合形成を検討した。光源、添加物等種々条件を検討し光による新規リガンドとAPサイトアナログを有するODNとの共有結合形成を示唆する結果を得た。更に、APサイトを有するODNに対する部位特異的切断能についても検討し、新規チオグアニンリガンドはAPサイトのβ-脱離を促進し部位特異的に切断するとともに、そのβ脱離体と共有結合を形成している可能性が示唆された。 APサイトのβ-脱離体とチオグアニンリガンドの共有結合形成は切断されたODN末端で起こっていると考えられ、APサイト修復酵素に対する阻害効果が期待され、研究目的であるAPサイト修復阻害剤の開発において有用な結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
APサイト親和性向上を目的とした新規リガンドを種々合成し、各リガンドの化学的性質を明らかにした。 計画していた光反応についての検討を行い、APサイトアナログを有するODNとリガンドとの光反応産物を示唆する結果をMALDI-TOF MSから得た。 また、光照射を必要とせず新規リガンドはAPサイトと共有結合を形成する可能性が示された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の予定通り、チオグアニンを有する新規リガンドの評価を行う。 MALDI-TOF MS測定から得られた結果を基に、LC-MS/MS等を用いて共有結合形成の詳細を明らかにし、APサイト修復酵素に対する競合阻害効果および培養がん細胞に対する単独の細胞毒性効果、既存抗がん剤との併用による抗がん作用増強剤としての可能性を評価する。
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Causes of Carryover |
(理由) 実験試薬をより安価に購入できたため。 (使用計画) 次年度使用額も併せて平成30年度の合成試薬および評価試薬の購入にあてる。
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