2017 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of off-target activities of an anti-fungal drug Itraconazole
Project/Area Number |
17K15487
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大金 賢司 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教 (30771092)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ケミカルプローブ / ニーマンピック病C型 / NPC1 / シャペロン / オフターゲット / 光親和性標識 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、抗真菌薬イトラコナゾールの未知の標的タンパク質群を、ケミカルプローブ化したイトラコナゾールを用いるアプローチで明らかにすることを目指している。イトラコナゾールには本来の標的であるエルゴステロール合成に関わる酵素以外にも、複数の標的タンパク質が明らかとなってきている。未知の標的タンパク質を明らかにできれば、その標的タンパク質の機能に関して知見が得られるとともに、新たな医薬標的候補-リード化合物の発見に直結する。 当該年度は、イトラコナゾールのプローブ群の合成を進めた。当初予想していた以上に中間体の溶解性・安定性に問題があり、プローブの合成は難航した。多数の合成経路を検討した結果、上記の問題点を回避しつつプローブ合成を行うことができるようになり、4種類のケミカルプローブを得ることに成功した。 申請者らはイトラコナゾールの新たな活性として、ニーマンピック病C型の原因となるNPC1変異体を安定化する作用を見出している。合成したプローブがこの活性に関してイトラコナゾールと同様の活性を維持しているか確認した結果、2種のプローブは活性を保持した一方で、残り2種のプローブでは活性が消失することが明らかとなった。ケミカルプローブ化は、元の構造に修飾を加えることから、修飾位置によっては元の活性が維持されない場合があるなど、ケースバイケースである。よって、NPC1に関して活性を保持したプローブは他の標的に対しては活性がない可能性も、今回活性が消失したプローブが他の標的に対して優れたプローブとなる可能性もある。より広い範囲のオフターゲット標的を解析するためには、光反応性官能基の導入位置や種類など、さらなるバリエーションがあることが望ましい。今後は、プローブの追加合成と同時に、まずはNPC1とイトラコナゾールの相互作用解析を進め、最終的には未知のオフターゲット標的の発見につなげたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
プローブ合成が予想以上に難航したため、当初の計画よりやや遅れている。原因は中間体の溶解性の低さと不安定性であり、これまでの検討で避けるべき中間体や反応等が概ね明らかとなった。これらの検討結果に基づいた合成経路により、最終的には当該年度では4種のケミカルプローブを得ることに成功した。次年度にもプローブの追加合成を行うことにはなるが、当初予定していたプローブの反応性検討や、オフターゲットの一つであるNPC1との結合解析などの実験も並行して進めることは可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
プローブの合成に関しては、これまでの検討で合成可能な道筋は見えてきている。工程数が大幅に増えたことから、合成するプローブの数を絞ることを考えている。すでに複数のプローブを得ることには成功しているので、研究全体としての進行には大きな問題はない。次年度においては、まずプローブ群の光反応性等、基礎的性質を調べる。その後、申請者らが見出したオフターゲット標的NPC1に関して、合成したケミカルプローブを用いた結合解析実験を進めていく。NPC1に対してシャペロン様作用を示す化合物として、過去にステロール誘導体を見出し、NPC1に直接結合して作用していることを示している。得られたプローブを用いて、itraconazoleがステロールと同じ結合部位に結合することでシャペロン様作用を示しているのか、その結合部位はNPC1のどこにあるのか、またそのような結合部位はNPC1のコレステロール輸送という機能にどう関与しているのか、といった点に関しても解析を進める。 また、最終的にはitraconazoleの未知のオフターゲット標的を明らかにすることを目指していることから、結合タンパク質群の網羅的なプルダウン・同定に向けた実験系の構築も進めていく。
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Research Products
(8 results)