2018 Fiscal Year Annual Research Report
Cytostatic factor that released from methylmercury exposed cells
Project/Area Number |
17K15488
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
外山 喬士 東北大学, 薬学研究科, 助教 (50720918)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | メチル水銀 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度では、その物質特定のためにODSカラム、ゲルろ過カラムとLC/MSを駆使することで、当該物質として4-hydroperoxynonenal (4-HPNE) が同定された。4-HPNEは活性酸素種 (ROS) の放出依存的に、脂質の過酸化に伴って産生される分子であり、細胞内で4-hydroxynonenal (4-HNE) に変換されることが知られている。これまでの検討から、4-HNEはメチル水銀の細胞増殖抑制作用を増強する因子として作用することが明らかとなった。そこで最終年度である本年度ではメチル水銀の毒性発現におけるROSの役割について検討を行った。 先ず、メチル水銀で処理した神経幹細胞からの活性酸素種 (ROS) 産生を測定したところ、ミトコンドリアからROS産生 (Mito-SOX Redで測定) が顕著に増加することが明らかとなった。ミトコンドリア膜電位を指示薬であるJC-1で測定したところ、メチル水銀の濃度依存的に膜電位が増加した。このことから、メチル水銀はミトコンドリアの過活性化を介してROS産生を増加させ、下流での4-HNEを介した細胞増殖抑制作用を示すことが示唆された。そこで次に、ミトコンドリアからのROS産生阻害剤であるMito-TEMPOで神経幹細胞を前処理し、メチル水銀で処理したところ、その細胞増殖抑制作用は低下した。また、メチル水銀投与マウスの血液中で脂質化酸化 (4-HNE産生) を抑制するglutathione peroxidase (GPx) にメチル水銀が直接結合し、その酵素活性を低下させることが明らかとなった。以上より、メチル水銀はミトコンドリアからのROS産生と脂質過酸化抑制の阻害の二重の作用によって、4-HNE産生を増加させ、メチル水銀の細胞増殖抑制作用を増強させることが示唆された。
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