2017 Fiscal Year Research-status Report
ALS患者の疼痛に対する適切な薬物治療法の探索:多施設共同前方視的研究
Project/Area Number |
17K15501
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石田 奈津子 金沢大学, 薬学系, 助教 (70794220)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / 緩和ケア / QOL / 薬物療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者における疼痛の発現状況や疼痛に対して有効な薬剤を明らかにすること,および病勢や疼痛がQOLに及ぼす影響を検討することである。これにより疼痛の要因や病気の進行度に応じた薬物療法を確立することを目標としている。疼痛は生活の質(Quality of Life: QOL)の低下につながると言われており,疼痛に対する適切な薬物療法を確立することによりALS患者のQOL向上につながることが期待される。研究初年度である平成29年度は下記のように研究を遂行した。 1.研究計画書の作成:6病院から研究協力施設として研究に参加する旨の了解を得た。その後協力施設と相談の上,研究計画書を作成した。 (研究計画書概要)本研究は多施設共同前向き観察研究とし,対象は研究対象施設に入院あるいは外来通院しているALS患者で,目標症例数は130例とする。研究開始時と開始6ヶ月後,12ヶ月後に疼痛調査QOL及び身体機能の調査を行い,中間解析の結果必要と判断された場合は追跡調査(18, 24, 30, 36ヶ月後調査)を行う。研究期間中に新たに疼痛治療薬の服用を開始した際に服用前後で疼痛調査を行うことで薬剤の治療効果を検討する。主要評価項目は疼痛治療薬使用による痛みの数値的評価スケール(NRS)の変化量とする。 2.倫理審査委員会への提出:作成した研究計画書について,本学医学部倫理審査委員会に申請し承認を得た。さらに,研究協力施設において倫理審査委員会にも申請を行った。 3.先行研究の論文報告:本研究の先行研究として実施したALS患者の疼痛に関する多施設共同横断研究について論文化した(Journal of Palliative Medicine)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は多施設共同前向きコホート研究であり,複数の施設で継続的な調査を実施するための準備に時間を要した。研究実施状況(研究対象者の選定方法,調査方法,配慮すべき倫理事項等)が施設間で異なっていることから,すべての施設において実施可能な研究計画書を作成する必要があったため,当初の予定よりも若干進行の遅れを認めている。しかし,協力施設との相談の結果,全施設の了承が得られた研究計画書が完成し,倫理審査委員会の承認を得て,同意取得可能な状態となったため,平成30年度以降は滞りなく研究を実施する予定である。また,今後の症例登録の状況によって研究協力施設の追加を行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画に基づき,平成30年度は症例登録を行い,データ収集を開始する。また,研究協力施設間での評価の標準化や情報共有のためにミーティングも実施する。さらに,研究協力施設追加に向けて施設選定ならびに研究参加依頼を行う。 研究進捗が若干遅延したため,最終年度の平成31年度において研究終了とならない症例が出現する。しかし,本研究の主要評価項目である疼痛緩和薬使用前後の疼痛評価については中間解析を行うことで評価可能と考えているため,本研究最終年度の平成31年度中に明らかにする予定である。
|
Causes of Carryover |
平成29年度は研究開始のための研究関係者ミーティングを行う予定であったが,研究計画書の作成が遅れたために実施できなかった。研究開始の準備ができたため,平成30年度は研究関係者ミーティングを開催し,研究の円滑な実施や評価の標準化のために研究担当者によるディスカッションや評価法の説明を行う予定であり,次年度使用額はその費用に充てる。
|