2019 Fiscal Year Annual Research Report
Determining the appropriate pharmacotherapy for pain in patients with amyotrophic lateral sclerosis: A multicenter prospective observational study
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17K15501
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石田 奈津子 金沢大学, 薬学系, 助教 (70794220)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / 緩和ケア / QOL / 薬物療法 / 緩和医療 / 非がん性疼痛 / 多施設共同研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者における疼痛の要因や病気の進行度に応じた薬物療法を確立することである。最終年度は前向き研究の遂行および横断研究のpost-hoc解析を行い,下記の研究成果を得た。 1.横断研究:ALS患者80名を対象として多変量解析を行った結果,年齢(1歳上昇毎;AOR=0.94, 95%CI:0.88-1.00),寝たきり(vs非寝たきり;AOR=0.23, 95%CI:0.06-0.81),四肢発症(vs球発症;AOR=6.12, 95%CI: 1.03 - 36.38)等が疼痛と独立して関連していた。また,疼痛に対して最も使用されていた薬剤はNSAIDsであったが,NSAIDs単独使用の患者の有痛率は80%と最も高かった。一方,オピオイドはADLの低下した患者にのみ使用されていた。 2.前向き研究:ALS患者19名が開始評価を実施し,その後6ヶ月毎に定期評価を行った。回収されたデータを評価期間毎に区切って解析したところ,のべ39件のうち疼痛が発現したのは10件(26%)であった。疼痛発現群と非発現群で患者背景に差はみられなかったが,ALSFRS-Rスコアを期間の前後で比較した結果,非発現群は6ヶ月間で有意に減少していた(P=0.002)が,発現群は変化が見られなかった(P=0.206)。 本研究の結果から,ALS患者における疼痛は身体機能の維持された状況で発現しやすいことが示唆された。また,疼痛に対してはNSAIDsだけでなく,鎮痛補助薬やオピオイドを使用するなど,適切な疼痛治療を実施する必要があると考える。 なお,前向き研究は3年間の観察期間を予定している。今後も研究を継続し,病気の進展や薬物療法がALS患者の疼痛に及ぼす影響,および疼痛がQOLに及ぼす影響を明らかにし,ALS患者の疼痛に対して適切な薬物療法を提案していきたい。
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Research Products
(1 results)