2019 Fiscal Year Research-status Report
トキシコキネティクスに着目した第3世代アゾール系抗真菌薬の投与設計法の確立
Project/Area Number |
17K15502
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
山田 尚広 浜松医科大学, 医学部附属病院, 薬剤師 (20793540)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ボリコナゾール / 皮膚障害 / Nオキシド体 / 熱分解物 / 光産生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は平成30年度以降はボリコナゾールについては患者を対象とした皮膚障害の評価とNオキシド体濃度との関係性について解析、その結果から皮膚障害中毒域の探索を行うこととしていた。一方で、ボリコナゾールによる皮膚障害の評価は、機序的にも紫外線下で発現しうるものと考えられ、入院患者を対象とする本試験では評価が困難であることが考えられた。よって、前年度よりボリコナゾールの皮膚障害については発現機序の解明に特化したin vitroの研究も加えて評価していくこととしている。 令和元年度では、ケラチノサイトを用いたin vitroの実験を進めると共に、ボリコナゾールとUVとの関係性について情報収集をしていた。その結果、それまで仮定していたボリコナゾールが皮膚中で代謝されることでNオキシド体に変換され、そこにUVBが照射されることで光分解物が生じ、UVA による光増感作用を発現する機序について新たな知見が報告された。上記光分解物については、これまで構造が不明であったが判明したことに加え、さらに熱を加えることにより得られる分解物(熱分解物)が、光分解物よりもUVAの吸収が高いことが示された。この報告は化合物のUVA吸収性など物性のみを評価したものであり、実際の細胞やヒトにおける影響などについては評価されていない。現在、この熱分解物を細胞へ曝露した影響や、ヒトでの血中濃度を定量的に評価できるよう、LC-MS/MSによる測定法について確立を進めている。この測定系の確立を以って、ボリコナゾールとその関連物質の細胞やヒトへの影響を評価する予定である。 ポサコナゾールについては令和元年度の間に上市されていない状況であったため評価できていない。令和2年4月になり上市されたため、今後の課題としたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ボリコナゾールについては、昨年度からはヒトでの皮膚障害の因子評価を行うこととなっていたが、実績の概要でも示した通り評価は難しいと考えられる。現在はin vitroの実験にシフトしているが、新たに知見の得られた熱分解物の存在の判明により、そちらの測定系確立に時間が割かれてしまったため、進捗としてはやや遅れている。 ポサコナゾールについては当初、上市を見込んでいた時期よりも遅れており、未だ研究に取り掛かれていないため進捗として遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
ボリコナゾールによる皮膚障害の評価は、機序的にも紫外線下で発現しうるものと考えられ、入院患者を対象とすると評価が困難となることから、in vitroの研究へシフトしている。ケラチノサイト細胞を用いて、ボリコナゾールとその関連物質を曝露させ、UV照射時の細胞への影響度について評価を行う予定である。また、それらの曝露量を定量的に評価するためにも高感度の測定法について確立していく予定である。 ポサコナゾールについては、上市されてから真菌治療における立ち位置として当施設で採用されるのかも踏まえて評価を検討していきたい。
|
Causes of Carryover |
当初計画していた臨床での試験が実行困難であることが予測されたため。 持ち越した額については、今後検討しているin vitroの研究へ充当することを計画している。
|