2018 Fiscal Year Research-status Report
薬剤性横紋筋融解症の齧歯類動物モデルの作製および新規治療法の開発
Project/Area Number |
17K15503
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
織田 進吾 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (10725534)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 薬剤性横紋筋融解症 / 動物モデル / 腎障害 / スタチン / フィブラート |
Outline of Annual Research Achievements |
スタチン系薬剤(HMG-CoA還元酵素阻害薬)は副作用として横紋筋融解症を惹起することが知られ、その発症率はフィブラート系薬剤との併用により10倍になることが報告されている。本研究では、スタチンおよびフィブラートの併用により横紋筋融解症マウスモデルを作出し、その発症機序の解明を目的とした。雌性C57BL/6Jマウスに絶食条件下、buthionine sulfoximine (BSO) を腹腔内投与後、lovastatin (LV)、gemfibrozil (GF) の経口投与を1日1回3日間反復した。LV最終投与24時間後に骨格筋、腎臓および血漿を採取し、CPK、AST、ALT値の測定、mRNA発現量解析、病理組織学的検査等を行った。また、経時的血中薬物濃度の測定および種々なスタチンのCPK値への影響を検討した。BSO/LV/GF群のみで、血中CPK、AST、ALTおよび骨格筋特異的miR-206-3pの顕著な上昇が認められた。また、骨格筋ではheme oxygenase 1およびmetallothionein 2のmRNA発現誘導に加え、caspase 3/7活性の亢進が認められたことから、酸化ストレスによるアポトーシスの関与が示唆された。さらにBSO/LV/GF群では腎障害マーカーであるlipocalin 2の著明な発現に加え、腎近位尿細管において空胞化が認められたことから、横紋筋融解症が示唆された。最後に、スタチン系薬剤の筋毒性ポテンシャルを検討するために、BSO/GFおよび種々のスタチン系薬剤をマウスへ併用投与した。その結果、血中CPKが上昇することが判明し、スタチンの筋毒性を評価可能であることが示唆された。本研究では薬物の併用による横紋筋融解症動物モデルの作出に成功し、非臨床において薬剤による骨格筋障害性を評価する有用な手法となり得ることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
BSOとフィブラート系薬剤を併用することで、スタチン系薬剤の筋毒性を評価することができた。しかし、これに時間を要し、治療薬の検討に着手できていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した動物モデルを用いて、薬剤性横紋筋融解症の診断バイオマーカーの最適化及ひ治療薬の同定を行う。
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Causes of Carryover |
(理由) 研究の進行がやや遅れており、使用経費が少なくなったため。 (使用計画) 動物購入費、ELISA、microRNA測定試薬、薬剤の購入に充てる。
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