2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of innovative drug delivery carrier targeting tumor microenvironment and application for intractable cancer
Project/Area Number |
17K15511
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
前田 仁志 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 助教 (80791483)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | がん微小環境 / 腫瘍間質 / アルブミン / ポリエチレングリコール / マクロファージ / 線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん微小環境の主要な細胞群である腫瘍関連マクロファージ(TAM)やがん関連線維芽細胞(CAF)は、がんの増殖や転移、さらには悪性化や薬剤耐性化で重要な役割を果たしていることから、難治性がんに対する新たな治療標的として注目を集めている。しかしながらTAMとCAFの両者を同時に標的可能な薬物送達(DDS)担体の開発には至っていない。申請者は、N-結合糖鎖認識配列を形成するように部位特異的三重変異を導入し (D63N/A320T/D494N)、これを酵母で産生することで、酵母に特有の高マンノース糖鎖を含有したHSA (Man-HSA) の作製に初めて成功した。興味深いことに、TAMとCAFの細胞表面上には、それぞれマンノース受容体のCD206とCD280が高発現している。従って、TAM/CAFに共通した形態学的特徴である”マンノース受容体“の認識素子としてMan-HSAを活用すれば、TAM/CAFの両者に対する二重標的化 (dual targeting) が実現できると予想される。しかしながら、Man-HSAは自身が有する高マンノース糖鎖によって、静脈内投与すると肝臓中のマクロファージ (主にクッパー細胞) へ優先的に認識され、血中から速やかに消失してしまうため、抗がん剤担体としては適していない。そこで本研究ではPEG修飾により新たにMono-PEG40k-Man-HSAを作製し、Man-HSAの肝移行性を回避しつつ、腫瘍蓄積性やTAM/CAF認識性に優れていることを実証した。また、本担体にPTXを搭載したがんDDS製剤はTAM/CAFの減少に伴う腫瘍間質領域の減少、微小環境の改善によって、強力に抗腫瘍効果を発揮したことから、Mono-PEG40k-Man-HSAはがん微小環境内のTAM/CAFを包括的に標的可能な新規がんDDS担体として機能することが期待される。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Repeated Administration of Kupffer Cells-Targeting Nanoantioxidant Ameliorates Liver Fibrosis in an Experimental Mouse Model.2020
Author(s)
Maeda H, Minayoshi Y, Ichimizu S, Mizuta Y, Nagasaki T, Matsusaka K, Oshiro S, Oniki K, Saruwatari J, Ishima Y, Watanabe H, Otagiri M, Maruyama T.
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Journal Title
Biol Pharm Bull
Volume: 43(1)
Pages: 93-101
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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