2018 Fiscal Year Annual Research Report
Design and evaluation of rapamycin loading liposome for lung cancer therapy
Project/Area Number |
17K15513
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小野寺 理沙子 熊本大学, 薬学部, 特任助教 (60720399)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 経肺投与製剤 / 表面修飾リポソーム / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、リポソームの表面特性に着目し、表面電荷や表面修飾を施すことで、肺がん治療および骨転移の制御を目指した経肺投与可能な各種リポソーム製剤を構築することである。 本年度は、前年度までの検討において有用性が示唆された数種のリポソーム製剤を用いて、経肺投与後の肺内滞留性および in vivo での抗腫瘍効果を評価した。さらに、各種リポソーム製剤の吸入特性を評価した。その結果、電荷を持たないリポソームは比較的良好な肺内滞留性を示した。また、負電荷を付与したリポソームにおいても相対的に高い肺内滞留性を示したが、負電荷が強くなり過ぎると肺内から排泄されやすいことが明らかとなった。一方、正電荷を付与したリポソームでは、肺内滞留性が低く、投与後速やかに排泄されたが、リポソーム表面を PEG で修飾することで、肺内での凝集およびマクロファージによる貪食が抑制され、肺内滞留性の向上に有用であることが明らかとなった。一方、肺がんモデルマウスを用いてがん細胞選択性を有する葉酸修飾リポソームの肺内滞留性を評価した結果、未修飾リポソームは、投与 72 時間後まで高い肺内滞留性を示したのに対し、葉酸修飾リポソームでは、葉酸受容体に取り込まれることで経時的に肺内から消失することが明らかとなった。次に、肺がんモデルマウスを用いてラパマイシン封入葉酸修飾リポソームの経肺投与後の抗腫瘍活性を評価した結果、静脈内投与と比較して優れた抗腫瘍効果を示すことが明らかとなった。最後に、吸入特性を評価した結果、未修飾リポソームは安定的なネブライザー噴霧が可能であったが、PEG 修飾リポソームはネブライザー噴霧時に内封薬物を漏出しやすく、適切なリン脂質の選択が重要であることが明らかとなった。一方、葉酸修飾リポソームは、安定的なネブライザー噴霧が可能であり、さらに肺深部まで薬物を送達可能であることが示唆された。
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