2017 Fiscal Year Research-status Report
薬剤の安全性向上を指向した製剤化研究を基盤とする炎症性腸疾患治療法の戦略的創出
Project/Area Number |
17K15516
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
世戸 孝樹 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (30744974)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 抗炎症薬 / 体内動態 / 安全性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は世界的に患者数が増加し続けている炎症性腸疾患 (inflammatory bowel disease: IBD) に対して有効かつ安全性の高い治療法の戦略的創出を目指すものである.すなわち,抗炎症作用を有する既存医薬品を用いて新規経口吸収製剤を開発し,大腸炎モデルを用いてその有効性ならびに安全性の両面から戦略的に治療 option の提示を目指す.本年度は (1) 新規製剤開発とその物理化学的評価,(2) 新規製剤の体内動態解析,ならびに (3) 実験的大腸炎モデル構築に関する検討を実施した.抗炎症薬 Tranilast および Cyclosporine A (CsA) について固体分散体製剤およびナノ製剤を調製し,良好な水への溶解性を有する複数の製剤の調製ができた.さらに体内動態解析の結果から,今回調製した製剤は良好な経口吸収性を示した.また,一部の製剤については血中濃度の緩やかな上昇を示す製剤を得ることができ,抗炎症薬の副作用リスク低減に寄与しうることを示唆した.また,実験的大腸炎モデル構築については trinitrobenzene sulfonic acid (TNBS) を用いた大腸炎モデルラットを作製し,TNBS 40 mg/kg で動物を志望させることなく,良好な大腸炎モデルを作製出来,TL により誘発した大腸炎症を聴講に抑制できた.現在は本モデルを用いて作製した製剤の有効性ならびに安全性について検討を進めているところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成 27 年度に予定していた検討課題である (1) 新規製剤開発とその物理化学的評価について抗炎症薬の固体分散体製剤ならびにナノ製剤を調製し,表面形態,粒子径ならびに溶解性を中心に物理化学的評価を行うことで目的の製剤を得たことを確認した.次に作製した製剤を用いて (2) 新規製剤の体内動態解析を実施し,経口吸収性の改善や緩やかな血漿中濃度を示す製剤など特徴のある製剤を調製できたことを確認した.(3) 実験的大腸炎モデル構築では TNBS を用いた大腸炎モデルラットを作製し,抗炎症薬 TL や prednisolone でその炎症反応を良好に抑制できることを確認し,各抗炎症薬の有効性の確認に使用できると判断した.今後は作製した製剤の有効性,体内動態ならびに安全性について大腸炎モデルラットや健常ラットを用いて適切に検討を進め,作製した製剤の有用性について検証を進めていく.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は調製した製剤の有効性,体内動態ならびに安全性に関する動物実験を実施する.はじめに,構築した TNBS 誘発性の大腸炎症モデルラットを用いて調製した製剤の薬理学的有効量を求め,その際の体内動態について精査する.また,薬物動態学的変化について大腸炎モデルラットと健常ラットで起きないか検証を行う予定である.製剤の安全性については様々な因子を除外するため基本的には健常ラットを用いて各抗炎症薬の有する副作用リスクについて検証を実施する.体内動態解析において薬物動態学的変化を認めた製剤については大腸炎モデルラットを用いて製剤の安全性についても併せて検証を行う予定である.これにより,IBD 患者の生活の質向上に大きく貢献できる新規 IBD 治療アプローチの提示に結実すると信じている.
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Causes of Carryover |
試薬購入が実験計画時より少なくなったため,平成 30 年度は動物実験が多いので関連する物品の購入に充てる.
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Research Products
(5 results)