2018 Fiscal Year Research-status Report
Hsp72結合分子に着目したトリプルネガティブ乳癌の抗がん剤耐性克服への挑戦
Project/Area Number |
17K15518
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
高橋 克之 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 薬剤部職員 (10597751)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 抗がん剤耐性 / トリプルネガティブ乳がん / 分子シャペロン |
Outline of Annual Research Achievements |
エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、human epidermal growth factor receptor (HER)が陰性であるトリプルネガティブ乳癌 (TNBC) は乳癌の約20%を占め、ホルモン受容体陽性乳癌に比較し、予後不良である。TNBCに対しては内分泌療法、抗HER2療法が使用できず、治療効果が期待できるのは殺細胞性抗癌剤のみであり、治療選択肢が少ないため生存期間が短い。そのため、化学療法薬の感受性を高める薬剤の標的分子の開発が切望される。 これまでにシャペロン機能を有し、細胞のストレス回避・生存に関わるストレス応答蛋白質Heat shock protein (Hsp) 72に着目し、抗癌剤の感受性を亢進させる分子の探索を行ってきた。2017年度の成果ではヒトTNBC株MDA-MB-231とそれより樹立した5-FU耐性株MDA-MB-231/5-FUの細胞抽出液に含まれるHsp72複合体を質量分析計にて同定し、その結果、細胞抽出液ではMDA-MB-231で256種、MDA-MB-231/5-FUで184種の蛋白質が同定され、そのうち34種類がMDA-MB-231/5-FUのみで同定された。 2018年度はMDA-MB-231/5-FUでのみ同定された蛋白質34種を耐性解除標的分子の候補とし、siRNAをMDA-MB-231/5-FUに導入し、IC50を評価することで耐性解除薬標的分子としての妥当性を検証した。その結果、5つの分子の機能阻害により、5-FUに対するIC50が有意に低下することを確認した。 今後は同定した5分子が抗癌剤の感受性を亢進させる(耐性を解除する)薬剤開発の標的分子として使用可能であるかをさらに検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Hsp72 結合分子の同定および同定分子の機能阻害により、耐性解除薬の標的となりうる分子のスクリーニングを実施し、IC50に影響を与える分子の同定には成功している。しかしながら、単一セルラインのみで結果であること、in vivoでの評価には至っておらず、やや遅れていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
既に樹立済みである他のTNBC 5-FU耐性株(BT549/5-FU)を用いて、同定分子の機能阻害によりMDA-MB-231/5-FU同様に5-FUに対するIC50値が低下するか検証する予定である。さらに同定分子のノックアウト細胞および過剰発現細胞を作製し、5-FUに対する感受性を検討することで、同定分子の選抜を行い、堅牢性を向上させる。また、5-FU耐性癌細胞株移植マウスおよび同定分子ノックアウト細胞移植マウスを用いて、5-FUの治療による腫瘍縮小効果を評価する予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の本研究課題以外の業務が一時的に多忙となり、当初計画より遅延したため。 2019年度においては、本研究課題の遂行が可能となる見込みである。
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