2017 Fiscal Year Research-status Report
カルボキシルエステラーゼの基質特異性を考慮した臓器選択的プロドラッグの分子設計
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17K15519
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
高橋 正人 千葉科学大学, 薬学部, 助教 (40738770)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | カルボキシルエステラーゼ / プロドラッグ / アトルバスタチン / インドメタシン / 加水分解酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,医薬品の代謝やプロドラッグの代謝活性化に重要な役割を果たしているカルボキシルエステラーゼ1 (CES1) およびCES2 の基質特異性を詳細に調査した後,その結果と本酵素の臓器分布を考慮し,特定の臓器で選択的に代謝活性化するプロドラッグ修飾鎖を設計および合成することを目的とした.当該年度は,アトルバスタチンとインドメタシンの2種を親化合物として,立体的および電子的性質の異なる修飾鎖を導入したプロドラッグモデルを合成し,ヒト肝ミクロソーム,ヒト小腸ミクロソーム,hCES1,hCES2溶液中における加水分解速度をそれぞれ測定した.その結果,hCES1溶液中ではアルコキシ基の隣接部位 (1位) に置換基が存在すると加水分解速度が大きく低下したが,置換基の位置が離れるとともに加水分解速度の低下は抑えられ,4位に置換基が存在しても無置換のものとほとんど加水分解速度に差がないことが判明した.エステルの隣接部位の立体障害を調節することで代謝活性化速度も調節できる可能性を見出した.また,不斉中心を有するエステルはエナンチオマー間で代謝速度が大きく異なることがわかった.次に,hCES2溶液中ではアルコキシ基の電子密度の低下によって加水分解速度の大幅な上昇が認められた.なお,hCES1に比べ,hCES2は置換基による立体障害の影響を受けにくいことがわかった.また,これらの結果は親化合物の構造に依存せず,アトルバスタチンとインドメタシンの両者において同様の結果が得られた.今後は,更に詳細な調査および得られた知見をもとにヒト肝臓または肺で選択的に代謝活性化されるプロドラッグ修飾鎖の設計および合成を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アトルバスタチンプロドラッグについては十分に検討されているものの,インドメタシンについては代謝物の分析条件の検討に時間がかかり,加水分解活性の評価がやや遅れている.化合物の合成方法や分析方法などの条件検討は当該年度でほぼ終了したので,次年度以降で成果が期待できる.
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Strategy for Future Research Activity |
hCES1およびhCES2に関する詳細な調査は今まで通り継続する.得られた結果をもとに,それぞれのアイソザイムによって選択的に加水分解されるプロドラッグ修飾鎖を設計および合成し,順次評価を行う予定である.
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Research Products
(4 results)