2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a model of anticancer drug and radiation-induced oral mucositis using 3D cultured cells
Project/Area Number |
17K15532
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
村上 雅裕 兵庫医療大学, 薬学部, 助教 (40744420)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 口腔粘膜炎 / 化学放射線療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん治療では、抗がん剤の投与や放射線の照射により、副作用として口腔粘膜炎が高頻度で生じる。一方で、現時点で口腔粘膜炎に対する有効な治療薬は開発されていない。現在、治療薬開発に必要な口腔粘膜炎のモデルとして、ハムスターなどを用いた動物モデルが存在する。しかし、動物モデルでは、口腔粘膜を物理的あるいは薬品により傷害することで炎症を誘発しているため、発症メカニズムに基づいたモデルとは言い難い。本研究では、生理的環境に近い状態が再現できる3次元培養による細胞モデルを構築し、発症メカニズムに基づいた口腔粘膜炎の評価系としての有用性を明らかにすることを目的とした。 口腔粘膜炎の発症には、抗がん剤の投与や放射線の照射により発生する活性酸素およびそれに続く炎症性サイトカイン(IL-1β、TNF-α)の誘導が関与している。そこで、3次元培養された再生ヒト口腔粘膜上皮細胞モデルに過酸化水素およびIL-1β、TNF-αを添加することにより、細胞モデルの作成を試みた。これらを添加した細胞において炎症の指標となるPGE2およびNOの産生量を測定した。その結果、IL-1βおよびTNF-αを添加した群では、細胞生存率に影響を与えることなく、炎症の指標となるPGE2産生量を増加させることがわかった。しかし、NO産生量には変化が見られなかった。過酸化水素を添加した群では、いずれも産生量は増加しなかった。次に、PGE2およびNOの産生が、それぞれCOX-2、iNOSの発現に由来するものであるかどうかをウエスタンブロット法により確認した。その結果、いずれもコントロール群と比較して有意な発現量の増加は認められなかった。 以上のことから、現時点では再検討が必要な部分が残されているため、細胞モデルを確立する段階までには至らなかった。
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