2017 Fiscal Year Research-status Report
Three dimensional dynamics of apical membrane ruffles on living cells by scanning ion conductance microscopy
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17K15541
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
水谷 祐輔 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40646238)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イオンコンダクタンス顕微鏡 / 細胞質突起 / アクチン線維 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は走査型イオンコンダクタンス顕微鏡(SICM)を用いて、生きた細胞の頂上膜面の細胞質突起のダイナミクスを解析し、そのダイナミクスと細胞運動の関係性を解明することを目的としている。本年度については以下に示す課題に取り組んだ。 1. 装置のS/N比の改善:装置自体が実用化されてから初期段階であるため、S/N比が低く帰還制御がうまく行かずにサンプルに探針が接触することが多かった。そのため、装置のS/N比の改善に着手した。自作定電流回路を導入することで計測されたシグナルを平均化することなくデータを取得することが可能となったことから、画像取得平均時間を短縮でき、経時的測定において時間分解能を約150%強改善することに成功した。改良型SICMを用いて移動能の異なるヒト口腔上皮癌由来細胞の細胞質突起のダイナミクスを解析した結果、細胞質突起の変動を捉え、移動能と相関していることを明らかにした。よって細胞質突起は細胞機能の1つである細胞運動と関連していることが示唆された。 2. SICMと蛍光顕微鏡の同時観察の検証:遺伝子導入を行うことで、蛍光タンパクと融合している細胞骨格関連タンパク質を発現する細胞を作成し、サンプルとして用いた。細胞骨格構造の動的変化が経時的に確認可能であるか検討するために蛍光顕微鏡による経時的測定や光褪色後蛍光回復法(FRAP)を行い、細胞骨格の一つであるアクチン線維の動的変化の可視化に成功した。その後、同細胞を用いて改良型SICMと蛍光顕微鏡による観察に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では極低雑音の電流増幅器を購入し、既存のSICM内電気回路に導入する事を計画していた。しかしながら、予備実験により劇的な改善は見込めなかったことから、ノイズを抑える事の可能な定電流回路を自作することとし、本装置を導入する事でS/N比を改善することに成功した。その結果、探針がサンプルにアプローチする際の速度を上げる事が出来、かつ計測されたシグナルを平均化することなくデータを取得することが可能となった。よって画像取得平均時間を従来より約60%抑え、短時間で画像取得することができ、経時的測定において時間分解能の改善につながった。 一方で、遺伝子導入により蛍光タンパクと融合している細胞骨格関連タンパク質を発現する安定化細胞の作成において、当初計画していた条件では安定化細胞を作成することが出来なかった。そのため条件検討に時間を費やしてしまったが、最終的に作成することができ、改良型SICMと蛍光顕微鏡による細胞質突起微細構造の変動とその直下の細胞骨格タンパク質を観察することが可能となった。これらを総合して、計画全体としてはおおむね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の計画として当初予定していた、CalpeptinやEGFなどの薬剤を付加し、細胞質突起の構造変化を経時的に観察する。細胞骨格の性状変化と細胞質突起の構造変化との関連を検討することで、細胞質突起微細構造の観察のみで細胞骨格の局在や状態を理解することが可能となる。
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Causes of Carryover |
当初の計画では極低雑音の電流増幅器を購入し、既存のSICM内電気回路に導入する事を計画していた。しかしながら、ノイズを抑える事の可能な定電流回路を自作し本装置を導入したところS/N比を改善することに成功した。よって、購入を予定していた電流増幅器の購入を見送った事から使用額が生じたものである。 そのため本年度、以前より効率良く安定化細胞作成を行うために遺伝子導入関連の設備備品を新たに購入し使用する計画である。
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Research Products
(2 results)