2017 Fiscal Year Research-status Report
オートファジー膜形成におけるリン脂質供給機構の解析
Project/Area Number |
17K15545
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小笠原 裕太 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (00773524)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | オートファジー / ホスファチジルコリン / 脂質代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物が持つ主要な分解系であるオートファジーは細胞内の恒常性維持において重要な役割を果たしている。オートファジーによる分解を実行する二重膜小胞であるオートファゴソームの形成機構は未解明な部分が多く、特に膜脂質の供給が如何にして行われているかは大部分が未知である。本研究では、生体膜の主要な脂質であるホスファチジルコリン(PC)の合成において律速酵素として働くCTP:phosphocholine cytidylyltransferase(CCT)が如何にしてオートファゴソーム形成に寄与しうるか明らかにすることでオートファゴソームへの膜脂質供給機構を解明することを目的としている。 オートファゴソーム膜への新規合成PCの分布を示すために、急速凍結割断レプリカ法を用いて解析を行い、他の膜構造に比べオートファゴソームにより多くの新規合成PCが分布することをナノレベルで示した。また新規合成PCがオートファゴソーム形成のどの段階で取り込まれるか各種オートファジー関連タンパク質を発現する細胞で解析したところ、オートファジーの初期構造オメガソーム形成時に新規合成PCが取り込まれることが分かった。CCTがオメガソームの形成に関与していることが示唆されたので、CCT過剰発現細胞におけるオメガソームの構造を解析した。その結果オメガソームの形成が促進されることと、オメガソーム自体の肥大化が起きることが明らかとなった。このことからCCTがオートファジーの初期過程で膜供給を制御していることが示唆された。この点を明らかにするためにCCT KO細胞およびCCT KOマウスをCRISPR CAS9 systemを用いて作製した。今後CCT KO細胞およびマウスを用いた解析によってこれまでに報告のなかったCCTが関与するオートファゴソーム膜の形成機構が明らかにできると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規合成PCがオートファゴソーム膜へ取り込まれていることをナノレベルで明らかにでき、膜の供給がオメガソーム形成時に起きていることも示すことができた。当初の予定通り新規合成PCの挙動を解析すればオートファゴソームの膜形成機構を明らかにできることがより明確になった。CCTの役割を解析するためのKO細胞およびマウスも既に作成できており、この細胞とマウスを用いてオートファゴソーム膜形成機構を明らかにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
1.CCT過剰発現およびCCT KO細胞を用いてCCTのオートファジーにおける役割を細胞レベルで示す。 2.CCT KOマウスを用いてCCTの役割を個体レベルで明らかにする。
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