2017 Fiscal Year Research-status Report
N-カドヘリン/Vangl2相互作用の神経管閉鎖に於ける役割の解析
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17K15551
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
永岡 唯宏 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 助教 (70634864)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 発生学 / 二分脊椎 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、これまでに平面内細胞極性因子Vangl2と細胞接着分子Nカドヘリンが物理的に相互作用し、Nカドヘリンのエンドサイトーシスを促進すること、それが神経シナプスの正常な発生に必要であることを明らかにしてきた。また、Nカドヘリンと同じくクラシックカドヘリンの一つであるEカドヘリンもVangl2と相互作用することを示した。本研究は、このVangl2/Nカドヘリン相互作用が生体内で普遍的に働いているのか、また、Nカドヘリンが平面内細胞極性シグナル伝達経路に含まれるかどうかを調べるために、まず、平面内細胞極性が重要な役割を果たしている神経管閉鎖や、内耳有毛細胞の発生に於いてVangl2/Nカドヘリン相互作用とそれに伴うエンドサイトーシスが、どのような役割を果たしているのか解明することを目的としている。はじめに、その遺伝学的相互作用を調べたところ、その異常を持つマウスの胎児のおよそ80%が二分脊椎様の異常フェノタイプをもつということが判明し、野生型と比べて統計学的に有意な差があった。この異常マウスについて、初期胚の神経板に於けるVangl2およびNカドヘリンの局在を調べて、二分脊椎発生時にこれら分子の局在異常があるかどうかを調べるためのツールとして、whole mount蛍光免疫染色法を確立した。更に、この異常マウスについて、その内耳を抗アクチン抗体で染色して、有毛細胞の観察を進めている。これまでの研究成果は第49回日本臨床分子形態学会総会・学術集会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度初めに研究機関を異動したことにより、新機関での動物実験、遺伝子組み換え実験申請をあらためて行ったこと、また、研究に使用する実験動物を新施設に移動させるためのSPF化に時間を要したため研究の開始が遅れた。しかし、当初予定では次年度後期に行う予定だった内耳の染色を先に行うなどしていることで、全体のスケジュールの遅れは大きなものでは無い。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度はwhole mount免疫蛍光染色法の確立ができたので、本年度は野生型と異常型の神経板尾部に於けるVangl2、Nカドヘリン及びNカドヘリンの足場蛋白質であるbeta-cateninの局在を観察し、異常があるかどうかを検討する。また、マウス初期胚に於いてVangl2の有無でN-カドヘリンのエンドサイトーシスレベルが制御されるか調べ、更に、エンドサイトーシスを阻害することでN-カドヘリンが組織に於いて神経管閉鎖を制御しうるかや、個々の細胞の運動性を制御しうるか解析する。
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Causes of Carryover |
出席する学会を近距離の異動で済むものに変更したため、旅費の出費が少なくなったこと、また、研究機関の異動により研究にやや遅れが生じたためその分が余剰金となった。本年度はその遅れを取り戻すための試薬購入、共同研究の出張旅費に充てる。
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