2017 Fiscal Year Research-status Report
眼内平滑筋収縮の持続相におけるカルシウムイオン流入メカニズムの解明
Project/Area Number |
17K15553
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
金子 智之 旭川医科大学, 医学部, 助教 (80638643)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | TRPチャネル / 眼内平滑筋 / 対光反射 |
Outline of Annual Research Achievements |
眼内平滑筋の自律神経刺激に伴う収縮の持続相は、他の多くの平滑筋の場合と同様、細胞外からのCa2+流入を必要とするが、その分子実体に関してはこれまでの研究からいくつかの候補があるものの、その詳細はいまだわかっていない。本研究では細胞外からのCa2+流入を担う候補分子としてTRPC3 とTRPC6 に着目し、TRPC3およびTRPC6のノックアウト、野生型、さらにTRPC3とTRPC6のダブルノックアウトを加えた4系統のマウスにおいて光刺激における瞳孔の収縮を観察、すなわち対光反射実験を行い、対光反射時における縮瞳の時定数および収縮の持続相における瞳孔径を測定した。その結果、ダブルノックアウトマウスでは他の三種との比較において瞳孔括約筋収縮における時定数の有意な減少がみられたが、縮瞳径ではいずれの系統との比較においても有意な変化はみられなかった。また興味深いことに、TRPC3単独のノックアウトでは対光反射刺激前の瞳孔径、すなわち最大瞳孔径が有意に大きくなるという結果が得られた。これらの結果は、眼内平滑筋収縮の際にTRPCチャネルが何らかの役割を担っていることを示唆するものである。しかしながら、収縮の持続相に対しての関与を示唆しているものとは考えにくいため、より直接的な影響を確認すべく、マウスの週齢、および対光反射測定時の光刺激強度の影響など、関連しうる可能性を精査し、現在条件検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
TRPCチャネルのノックアウトにより収縮の持続相がなんらかの影響を受けると考えていたが、ここまでの実験ではそのような結果が得られていない。その理由として、TRPCチャネルをノックアウトしたことにより他の分子が代償的に働く系が発達している可能性も考えられる。そのため、代償系が未成熟であると考えられるより若いマウスを用いての測定を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
より若い週齢のマウスを用いた測定を可能にするため、現在小型のマウス固定装置およびそれに応じた新たな測定系を作製している。また、対光反射に用いる光刺激強度の強弱が持続相に与える影響についても検討中である。
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Causes of Carryover |
購入を予定していたマイクロマニピュレーターをより安価なマニピュレーターで代用可能だったため、その差額により次年度使用額が生じた。これについてはより小型(若齢)のマウス用の固定器を作製するために使用する予定である。
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Research Products
(2 results)