2017 Fiscal Year Research-status Report
The multi-layer analysis on physiological functions of the unique Cl- channel in rat pulmonary veins
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17K15554
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
岡本 洋介 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50758224)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イオンチャネル / 心房細動 / 肺静脈 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の研究目的は申請者がラットの肺静脈心筋において発見した過分極活性型Cl-電流の心房細動への関与を多角的に検討することである。そのために先ず、このCl-電流の分子実態を同定し、続いてモデル細胞や数理モデルならびにモデル動物の作成を検討してた。 初年度の目標であった分子実態の同定は、イオンチャネルの遺伝子クローニングとプロテオミクスを組み合わせることでほぼ終了しており、現在論文執筆中である。研究過程で、肺静脈におけるあるリン酸化酵素が不整脈を促進していることが判明した。こちらも論文執筆中である。また、所属教室が学外との共同研究で肺静脈異所性自動能の数理モデル作成を進めており、基盤となるモデルは既に完成している。この数理モデルによる定量的な解析により、研究対象である過分極活性型Cl-電流の不整脈への関与は限定的であることが分かった。こちらは学外研究者が論文執筆中である。 モデル細胞の作製は、当初マウス拍動心筋を利用することを検討していたが、ラット肺静脈のマイクロアレイデータを獲得したため、心筋前駆細胞に転写因子を導入することで、肺静脈心筋を誘導できる可能性が出てきた。今後は肺静脈心筋の分化誘導研究も視野に入れていく。 さらに、ラットの心房を局所的に高頻度ペーシングすることで人為的心房細動を形成する技術を完成させた。研究対象である心房細動は後天的な慢性疾患であるため、今後はこの心房細動モデルを使って、種々のイオンチャネルのリモデリングやそのエピゲノム過程を研究し、抗不整脈薬の薬理学的作用機序や効果を研究していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標であった過分極活性型Cl-電流の分子実態同定は、イオンチャネルの遺伝子クローニングとプロテオミクスを組み合わせることでほぼ終了している。現在論文執筆中である。次のステップとしてCaチャネルやCaポンプのリン酸化過程を研究したが、これも半ば実験が終了しており論文執筆中である。数理モデルによる定量的な解析は学外共同研究者により基盤となるモデルが完成している。ラット肺静脈のマイクロアレイデータを獲得したため、心筋前駆細胞に転写因子を導入することで、肺静脈心筋を誘導できる可能性が出てきた。最終的な目標である、モデル動物を使った橋渡し研究は、既にデータの量産体制が整っている。研究目標の大半が2年目に終了する見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、いくつかの論文発表ののち、完成させた心房細動モデルの活用に重点をおいていく。数理モデル解析の結果、研究対象の中心だった過分極活性型Cl-チャネルは異所性自動能への関与は限定的であることが判明したため、心房細動の病態として重要な分子を改めて検索していく。種々のイオンチャネルの発現量を測定するための抗体は既に購入済みである。心房細動は後天的に発症する慢性疾患であるため、固有の遺伝子変異に注目するのではなく、エピゲノム過程を考慮して研究を進める。 また、ラット肺静脈のマイクロアレイデータを獲得したため、心筋前駆細胞に転写因子を導入することで、肺静脈心筋を誘導できる可能性が出てきた。肺静脈心筋の分化誘導研究も視野に入れていく。
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Causes of Carryover |
生じた差額は実際に購入するまで価格が分からなかった物品の消費税分である。次年度の研究遂行上問題ない。
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[Journal Article] Mammalian γ2 AMPK regulates intrinsic heart rate2017
Author(s)
Arash Yavari, Mohamed Bellahcene, Annalisa Bucchi, Syevda Sirenko, Katalin Pinter, Neil Herring, Julia J. Jung, Kirill V. Tarasov, Emily J. Sharpe, Markus Wolfien, Gabor Czibik, Violetta Steeples, Sahar Ghaffari, Chinh Nguyen, Alexander Stockenhuber, Joshua R. St. Clair, Christian Rimmbach, Yosuke Okamoto 他46名
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 8
Pages: 1258
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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