2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K15558
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河合 喬文 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (70614915)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 受精能獲得 |
Outline of Annual Research Achievements |
精子が受精能獲得を経るとき、細胞内ではカルシウム動態が変化することが知られているが、この時精子の中ではpHシグナルの変化(アルカリ化)、および膜電位の変化も並行して起きていることが知られている。これら二つの精子における生理応答はカルシウム動態になんらかの重要な役割を示すことが示唆されているが、その詳細なメカニズムや関連性については深くは研究がなされていない。そこで我々はマウスの精子を用いてこの点の検証を行った。 まず本検証を行うための基盤を整えるため、マウスの精子を用いたカルシウムイメージング、pHイメージングの実験系を確立した。これに、精子の受精能獲得用の専用培地を投与して観察することで、精子におけるカルシウムシグナル、pHシグナルの変化を検出することに成功した。また、両者の応答の時間経過を比較することで、両者の関連性についての考察を行った。 加えて、精子のアルカリ化と膜電位変化の関連性を調べるため、精子からパッチクランプ法を適用し、アルカリ化に伴った過分極応答を計測できる実験系を確立した。 最後に、膜電位変化とカルシウム動態の関連性を比較するためにカリウムイオンイオノフォアであるバリノマイシン存在下で細胞外のカリウムイオン濃度を変化させることにより精子の膜電位を制御し、この状態で受精能獲得専用培地を投与するという実験も行った。その結果、精子の脱分極時においてもある程度のカルシウムシグナルは認められた。従って受精能獲得時の精子の過分極はカルシウムシグナルの発現自体に必須ではなく、なんらかの修飾的な機能を果たしている可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題を遂行するにあたり、それに必要な実験系の確立に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
上記実験手法を適用し、精子の受精能獲得時に生じている生理動態について薬理学的な手法を用いることで詳細に検討する。
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Causes of Carryover |
実験を行うにあたり、一部の試薬の購入に遅れを生じたため。 翌年度は当該助成金を用いて試薬を購入し、これまでの計画通りの実験を遂行する予定である。
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Research Products
(7 results)