2017 Fiscal Year Research-status Report
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17K15559
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
森田 知佳 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (70763796)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 病態生理 / 脳血管 / 血管平滑筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は血管組織レベルでの検証を行うために、野生型マウスの脳底動脈の等尺性収縮張力測定を行った。当初の実験方法でも等尺性収縮張力を測定する方法が確立できていたもののベースライン(基底状態でのトーン)の不安定性に問題が生じていた。その原因の一つとして、張力測定時の液交換により極微小な脳底動脈の動揺が生じておりそれがベースラインの状態に影響していることが示唆されたため、液交換方法を再検討しマウス脳底動脈の動揺をできるだけ少ない状態で測定することにより、当初よりも更に安定的にマウス脳底動脈の等尺性収縮張力測定することが可能となった。 我々の研究室で検討してきた血管の異常収縮因子である、スフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)がマウス脳底動脈を収縮させるのかどうかについては、これまで検討されていなかった。しかし、上記の改良された等尺性収縮張力測定法により、SPCがマウス脳底動脈においても収縮を誘発すること、またその収縮の程度についても明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SPC誘発収縮を安定的に測定することができていることから、おおむね順調に進展していると区分づけた。しかしマウス脳底動脈が4ミリほどしかなく実験できる血管の本数が極端に限られていること、マウス脳底動脈を用いたSPC誘発収縮測定例が文献では全く見つからないことから、等尺性収縮張力測定実験については当初の予定より慎重に実験を重ねている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、マウス脳底動脈の等尺性収縮張力が非常に安定して測定可能になったことから、①野生型マウス脳底動脈においてSPC誘発収縮が週齢や性差により程度の変化があるのかどうか検討するとともに、②当研究室で検討してきたSPC/Fyn/新規分子X/Rhoキナーゼ経路の分子をノックアウトした2種類の遺伝子組み換えマウスの脳底動脈を用いた等尺性収縮張力を測定することにより組織レベルで直接的にSPC誘発収縮張力が抑制されるかどうかについて、明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
当該助成金が生じた状況:この当該助成金は高精度生体内圧力カテーテル計測システム購入に充てる予定であった。本研究の段階には、組織レベルと生体レベルの2つの段階の実験があり、この高精度生体内圧力カテーテル計測システムは生体レベルの実験での使用を考えていた。しかしこのシステムは非常に高額であることから(一式:100万円。消耗品のカテーテル:53万円)、組織レベルの実験を十分に行う前に本機器を購入することにより、組織レベルの確固たる証拠の収集が困難になり、ひいては生体レベルの研究を進めるための根拠が乏しくなることを危惧したため、本システムの購入を保留にした。実験の進捗状況により組織レベルの実験結果が確実になり次第、本システムを購入する予定である。
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Research Products
(5 results)