2017 Fiscal Year Research-status Report
Neural mechanisms underlying perceptual memory consolidation in the cerebral cortex
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17K15568
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
平井 大地 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, リサーチアソシエイト (40746939)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大脳新皮質 / 樹状突起 / カルシウムイメージング / 睡眠 / 記憶 / シナプス可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
睡眠時の脳は、覚醒時に体験した感覚情報等を記憶として固定化することが知られている。では、どのように記憶は固定化されるのであろうか。感覚入力が脳にあまり入ってこない睡眠時では、脳で自発的に生成されるトップダウン入力が記憶の固定化に関与していると長年考えられてきた。最近、研究代表者の所属する研究チームは、トップダウン入力元の同定、入力先の同定、選択的制御法等の確立などを行い、この仮説を実験的に検証し、ノンレム睡眠時のトップダウン回路が触知覚の記憶固定化に関与することを明らかにした。本研究では、先行研究を足がかりに、触知覚記憶の固定化に関わる皮質トップダウン投射活動、この受け手である皮質5層神経細胞の樹状突起活動、スパイン活動を操作・記録し、これとマウスの記憶行動との因果関係を探る。以上により、記憶に関連する皮質間の詳細な回路活動を解明し、記憶力低下を伴う睡眠障害や認知症の予防に貢献する。 平成29年度には、以下の課題に取り組んだ。 (1)マウスにおいて、触知覚体験直後のノンレム睡眠時にトップダウン入力を薬理遺伝学的手法により抑制したところ、知覚記憶の固定化が妨げられた。 (2)トップダウン入力元の高次脳領域M2の神経軸索活動と、入力先の一次体性感覚野S1の5層錐体細胞の樹状突起活動を2光子顕微鏡イメージングしたところ、いずれも学習直後のノンレム睡眠時に活動が上昇していた。 (3)樹状突起上の小突起(スパイン)が学習・記憶に伴い増大することに着目し、「新生・増大スパインを特異的に標識し、青色光でそのスパインを収縮させる事が可能な記憶プローブ」(Hayashi-Takagi et al., 2015, Nature)をマウスS1に導入した。S1を記憶プローブで標識後に青色光を照射すると、新しく獲得した知覚記憶が消去された。触知覚体験の記憶がS1に貯蔵されることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2光子顕微鏡イメージングにより学習直後の軸索活動および樹状突起活動を明らかにできたことは計画通りであるが、「貯蔵された記憶を可視化・消去する」新技術を実験系に導入できたことは、予想以上の発展である。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスの一次体性感覚野に蛍光プローブ(Venus-ASPaRac1)をアデノ随伴ウイルスにより導入し、学習直後の睡眠で長期増強を受けた皮質5層錐体細胞の樹状突起スパインを可視化する。さらに、触知覚記憶の固定化に関わる皮質トップダウン投射活動、この受け手である皮質5層神経細胞の樹状突起活動を操作することで、学習直後の睡眠時にトップダウン入力により記憶が樹状突起スパインに貯蔵される際の神経機構を明らかにする。
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Research Products
(2 results)