2017 Fiscal Year Research-status Report
睡眠覚醒制御機構に関与する新たな細胞内シグナル伝達経路の解明
Project/Area Number |
17K15570
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松岡 妙子 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (90781617)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 睡眠 / リン酸化 / SIK3 |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究室では8000匹以上のランダム突然変異を有するマウスの睡眠覚醒スクリーニングにより顕著な睡眠時間の延長を示すSleepy家系を樹立し、原因となる遺伝子変異がリン酸化酵素SIK3にあることを明らかにした(Funato et al., 2016)。また、同様に睡眠時間延長を示すSleepy2家系も樹立に成功している。これらの遺伝子が睡眠覚醒を制御するメカニズムの詳細については未だ明らかとなっていないが、リン酸化酵素であるSIK3はSleepy2のリン酸化に関わり、機能を制御しているという研究結果が過去に報告されている。独立して見つかった新規睡眠覚醒制御関連遺伝子であるSik3とSleepy2が互いに酵素と基質の関係になっていたということは、このカスケードが睡眠量を規定する細胞内シグナル伝達系の解明への足掛かりになることが考えられる。そこで本研究ではSIK3-Sleepy2リン酸化シグナルによる調節機構に着目し、睡眠覚醒制御機構に関与する細胞内シグナル伝達系を明らかにする。 本年度は、分子レベル、細胞レベルでSleepy2の局在を明らかにし、リン酸化酵素SIK3によるSleepy2の活性制御の詳細を検討した。Mycタグ融合Sleepy2タンパクを強制発現させた培養細胞、およびSleepy2にMycV5タグを付与した融合タンパクを発現する遺伝子改変マウスから得られた初代神経培養細胞での免疫細胞染色ではSleepy2は概ね細胞質に局在していた。SIK3によるSleepy2のリン酸化制御についてはウェスタンブロットを用いたリン酸化解析を行なった。また、Sleepy2のリン酸化部位のペプチドを作成し、活性型SIK3によってリン酸化される部位を明らかにした。さらに精製したSIK3タンパク、変異タンパクを用いてSleepy2がどのようにリン酸化されるか検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度における本研究課題の進捗状況は、おおむね順調に進展している。培養細胞を用いた免疫染色および生細胞イメージングの解析に向けて準備も整ってきている。またキナーゼ解析はウェスタンブロットによるリン酸化特異的抗体を用いた解析だけでなく、様々なペプチド基質を用いた解析も進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度からは抗タグ抗体を用いて免疫沈降させたSleepy2を質量分析によりどのような分子と複合体を形成し活性化に関わるか網羅的解析を行う。またSleepy2およびSIK3の部位特異的ノックアウトマウスを用いて睡眠覚醒を調べる予定である。
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Causes of Carryover |
Sleepy2と相互作用するタンパクの同定のため質量分析を予定していたが次年度に繰り越した。当該研究の目的を十分に達成できるよう、プロテオミクス解析を行い結合する分子の有力候補が得られれば、遺伝子改変マウス作製を検討していく。
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