2017 Fiscal Year Research-status Report
薬剤性痙攣を予測可能するヒトiPS細胞由来ニューロンの薬毒性評価系の構築
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17K15577
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小田原 あおい 東北大学, 材料科学高等研究所, JSPS特別研究員(PD) (80795287)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ヒトiPS細胞由来ニューロン / 平面微小電極アレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、痙攣誘発の評価系を構築する上で基盤となる、ヒトiPS 細胞由来ニューロンの培養条件に依存した電気活動特性を明らかにすること、および既知の痙攣薬剤に対する応答の取得を目的とした。具体的には、ヒトiPS 細胞由来ニューロンを平面微小電極アレイ上に培養し、ヒトiPS 細胞由来皮質ニューロンの種類、基板コーティング条件、細胞播種密度、培地条件、グリア細胞との共培養の有無の違いによる自発活動特性を調べた。培養2週目から毎週自発活動を記録し、培養日数に依存した発火数の推移、機能的成熟化の指標となるシナプス伝達による同期バースト発火の発生時期、培養日数に依存した同期バースト発火頻度の推移を調べた結果、1.ヒトiPS細胞由来皮質ニューロンの種類(ベンダー間の違い)によって発火数、同期バースト発生時期、同期バースト発火の頻度が異なること、2.細胞密度の違いよって発火数や同期バースト発生時期が異なり、5.0×10^5 cells/cm^2以上の細胞密度が機能的成熟化の促進に必要であること、3.培地の種類によって同期バースト発生時期が著しく異なること、4.アストロサイト共培養により発火頻度が上昇すること、および同期バースト発火の発生時期が早まること、5.ヒトiPS細胞由来皮質ニューロンの種類によって最適な基板コーティング条件が異なること等を明らかにした。また、同期バースト発火時に、AMPA受容体とNMDA受容体の両受容体が働いていることを確かめた。次に、代表的な痙攣誘発薬剤10種類以上を用いて、用量依存的な自発活動の変化を検出した。ヒトiPS細胞由来皮質ニューロンの種類によって、活動状態の変化は異なり、同一の解析パラメータで痙攣誘発の有無を同定することが困難であること、ニューロンの種類によって、痙攣毒性の検出に適した解析パラメータがあることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目的であったヒトiPS 細胞由来ニューロンの培養条件に依存した電気活動特性を明らかにすること、および既知の痙攣薬剤に対する応答の取得を達成することができた。ヒトiPS細胞由来皮質ニューロンはクオリティーが高いとされている世界6社の細胞を試験することが出来き、全ての細胞について、痙攣誘発剤試験まで行い、薬剤試験に最適なプロコトルの導出を行うことができた。また、複数薬剤の試験を実施し、細胞によって応答性が異なり、痙攣誘発の有無を同定する解析パラメータが異なることが見出された点は、毒性評価系を構築する上で有用な知見であり、今後の研究の方向性が明らかとなった。このことから、本研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた痙攣誘発に最適な実験プロコトルを用いて、作用機序の異なる既知の痙攣誘発剤(ポジティブコントロール)および痙攣を引き起こさないことが知られている薬剤(ネガティブコントロール)の用量依存的な活動データを取得し、ポジコンとネガコンを分離するのに有効な解析法およびポジコン内の作用機序を分類するために有効な解析法を検討する。構築した解析法を基に、日間差、サンプル間差、細胞種間差に依存した解析法を検討する予定である。
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Research Products
(13 results)