2017 Fiscal Year Research-status Report
敗血症誘発性炎症反応及び臓器障害とエストロゲン受容体との関連の解明
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17K15578
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
冨田 賢吾 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (20758213)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 敗血症 / 炎症 / エストロゲン |
Outline of Annual Research Achievements |
敗血症は種々の抗菌薬治療が確立した現在においても未だに ICU で 25% もの高い死亡率を有しており、特に敗血症性ショックを伴うものは予後が悪く、院内死亡率は 30-50% と非常に高くなる。 2016年には敗血症ガイドラインが見直され、より重症な集団に絞ったものとなった。このように敗血症は未だに決定的治療法が模索されており、敗血症病態を惹起するメカニズムの解明は世界的に喫緊の課題となっている。 敗血症治療では、臓器障害や全身性の炎症反応が亢進することにより臓器不全やショックを呈して予後不良に至らせないことが重要となる。近年では集中治療室における敗血症患者の予後について、男性に比べて女性の方が良好であることが報告されている。炎症疾患における性差も報告されており、エストロゲンによる炎症性サイトカインの産生抑制が報告されている。エストロゲンによる抗炎症作用が敗血症の有効な治療につながる可能性も期待されている。 本研究はsham手術群、卵巣摘出術群、及びエストロゲン補充群に分けたマウスに盲腸結紮穿孔を施すことによって敗血症マウスを作成する。盲腸結紮穿孔後見られる血圧や血液生化学検査値の変化を検討し、各臓器(肺、肝臓、腎臓)の臓器障害の指標となる炎症メディエータや炎症関連タンパク質の変動、組織学的検討及びアポトーシスの進行、以上の変化に対して卵巣摘出による卵巣由来のエストロゲンを抑制した群とエストロゲン補充群においたどのような所見が変化するかどうかを解明する。この実験によりエストロゲンの作用が敗血症モデルマウスの予後に変化を及ぼすか否かを明らかとする。 本研究は、ICUの現場におけるに女性患者の炎症に対する抵抗力の高さがエストロゲンの作用によるものだとする仮定を検証し、その結果が未だに根本的な治療法の確立していない敗血症の新規治療法の開発の一助になることを目的としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現在、卵巣摘出マウスの作成段階で遅れている状況である。平成29年度は、雌性マウスに卵巣摘出術を施したのちに盲腸結紮穿孔による敗血症を誘発させてエストロゲンと敗血症病態の関与を検討する。以下の実験を行うことによりメスにおける敗血症病態の進行がエストロゲン抑制及びその補充によりどのように変化するかを詳細に検討する予定となっていたがマウスに対する手技の安定に手間取っている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,遺伝子改変マウスを用いてエストロゲン受容体サブタイプと敗血症誘導性臓器障害の進行メカニズムの関連を解明するため以下の実験を行う予定であったが、現状遺伝子改変マウスへの着手を行う前段階である。現在は早急に卵巣摘出術の手技の安定を調整しているところであり、すでに血中のエストロゲンの測定を進める準備は出来上がっている。エストロゲンは日内変動があるため測定時間の検討も追加する必要があるが、それが終了次第、予定していた下記の項目を検討し、報告する予定である。 1.動物モデルの作成及び組織サンプルの採取 2.敗血症モデル作成後24時間における血圧の測定及びestradiolの測定 3.敗血症病態に関係する有害遺伝子と線維化関連因子発現の検討 4.敗血症性誘発性の炎症性サイトカイン及び敗血症関連タンパクの定量 5.組織学的染色法を用いた敗血症誘発性の臓器障害の評価
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