2017 Fiscal Year Research-status Report
冠動脈狭窄と可溶性グアニル酸シクラーゼヘム鉄の酸化還元状態
Project/Area Number |
17K15579
|
Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
田和 正志 金沢医科大学, 医学部, 講師 (10510274)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 可溶性グアニル酸シクラーゼ / 一酸化窒素 / 冠動脈狭窄 |
Outline of Annual Research Achievements |
可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)には一酸化窒素(NO)が活性化できる還元型(ヘム鉄が二価の状態)とできない酸化型(ヘム鉄が三価の状態)/アポ(ヘムが脱離した状態)がある。器質的な狭窄を起こした冠動脈でこのバランスが変化しているのかを検討するため、正常食あるいは1%の高コレステロール食を給餌したウサギから冠動脈を単離した。ヘマトキシリン・エオジン染色標本を作成し、その病理像を観察したところ、高コレステロール食を4週間給餌したウサギの冠動脈内膜にはコレステロールが沈着していたものの、器質的な内腔狭窄は認められなかった。また、冠動脈の等尺性張力変化をオーガンチャンバー法に準じて測定した結果、NO供与剤(還元型sGCを刺激)による弛緩反応は増減していなかったが、sGC活性化剤(酸化型/アポsGCを刺激)による弛緩反応は4週間の高コレステロール食給餌群で増強していた。このことから、動脈硬化初期段階の狭窄発生前冠動脈では還元型sGCは不変であるものの、酸化型/アポsGCはすでに増加している可能性が示唆される。一方、高コレステロール食を12週間給餌したウサギの冠動脈では重度の狭窄が生じており、NO供与剤とsGC活性化剤のいずれによる弛緩反応も減弱していた。したがって、冠動脈におけるsGCヘム鉄の酸化還元状態は狭窄の進行に伴い変化し、末期の段階では還元型および酸化型/アポのいずれのsGC発現も減少する可能性が高いと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が平成29年4月に異動となり、異動先で研究を開始するまでに時間を要したため、計画していたすべての研究項目を実施することができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
sGCヘム鉄の酸化還元状態を推定するためには、NO供与剤およびsGC活性化剤による等尺性張力変化だけでは不十分である。そこで、正常食あるいは1%の高コレステロール食を給餌したウサギの冠動脈を単離し、NO供与剤あるいはsGC活性化剤によるcGMP産生能をEIAキットを利用して測定する。また、冠動脈におけるsGCの発現をウェスタンブロッティングや免疫染色などの手法を駆使して確認する。
|
Causes of Carryover |
異動に伴い研究開始が遅れたため次年度使用額が発生したが、当初の予定通り、実験動物、特別飼料、試薬などの購入費に充てる。
|