2018 Fiscal Year Research-status Report
冠動脈狭窄と可溶性グアニル酸シクラーゼヘム鉄の酸化還元状態
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17K15579
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
田和 正志 金沢医科大学, 医学部, 講師 (10510274)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 可溶性グアニル酸シクラーゼ / 一酸化窒素 / 冠動脈狭窄 / 内膜肥厚 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は当初の研究計画を変更して、内膜肥厚血管における可溶性グアニル酸シクラーゼ (sGC) ヘム鉄の酸化還元状態について検討した。バルーン傷害を施した 1 日後のラット頸動脈では、一酸化窒素 (NO) 供与剤による弛緩反応は減弱していたが、sGC 活性化剤による弛緩反応は増強していた。また、平滑筋における sGC β1 の発現は変化していなかったことから、sGC が還元型から酸化型/アポへと移行していたと考えられる。なお、この時点では新生内膜形成による狭窄はまだ認められなかった。一方、新生内膜が生じていた 7 および 14 日後の頸動脈では、NO 供与剤による弛緩反応の減弱は認められたものの、sGC 活性化剤による弛緩反応に差は認められず、sGC β1 の発現も減少していた。したがって、バルーン傷害により還元型 sGC と酸化型/アポ sGC の平衡は破綻し、それに引き続いて、発現自体の減少を招くことが明らかとなった。本成果は Journal of Vascular Research 誌に発表した。昨年度および今年度の研究成果を踏まえると、血管の器質的変化と sGC ヘム鉄酸化還元状態の破綻は密接に関係しているのかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題に関連する成果をまとめることに注力したため。
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Strategy for Future Research Activity |
狭窄した冠動脈における sGC ヘム鉄の酸化還元状態を適切に評価するために、cGMP 産生能を EIA キットを利用して測定するとともに、sGC の発現をウェスタンブロッティングや免疫染色などの手法を駆使して確認する。
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Causes of Carryover |
論文掲載費の支払いが次年度になったために生じたが、次年度使用額はそれに充てる。
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