2017 Fiscal Year Research-status Report
乳がんにおけるDIF-1の抗腫瘍活性および抗転移活性の検討
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17K15581
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
有岡 将基 九州大学, 医学研究院, 助教 (20733554)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 乳がん / トリプルネガティブ / DIF / 細胞増殖 / 細胞浸潤 |
Outline of Annual Research Achievements |
In vivo実験において、 DIFの経口投与によるマウスでの抗腫瘍効果の検討を行った。乳がん細胞(マウスTNBC細胞株4T1-luc)を左側第4乳房乳腺に注入する腫瘍モデルにおいてもDIFは腫瘍増殖を強力に抑制した。また、乳腺に注入した原発巣乳がんからの自然肺転移モデルを作成し、DIFの転移阻害効果を検討し、DIFは体重減少や、骨髄抑制といった明らかな副作用なしに、乳がんの肺転移を阻害することが示唆された。 その機序をin vitro実験で検討したところ、乳がん細胞(マウスTNBC細胞株4T1及びヒト乳がん細胞株MCF7)において、DIFは細胞周期の進行に関わる主要な因子であり、癌原遺伝子であるcyclinD1, c-Mycのタンパク分解を誘導し、発現を減少させ、抗腫瘍効果をもたらすことがわかった。さらに、DIFは転移に重要な役割を果たす上皮間葉移行(EMT)を誘導する転写因子であるsnailのタンパク発現を強力に抑制した。その転写産物であり、細胞遊走・浸潤に関係する間葉系マーカーであるvimentinのタンパク発現を抑制し、強力な細胞遊走・浸潤抑制効果をもたらした。さらに、DIFは細胞遊走に関与することが知られている、マトリックスメタロプロテアーゼ2の発現減少もたらすことを明らかにした。これらのタンパク発現の変化は、GSK-3を介さない機序によって起こっていることが明らかになった。今後、DIFのターゲット探索のため、機序の詳細の解明に今後取り組んでいく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
29年度に行う予定であった内容は、概ね遂行された。in vitro実験において、DIFの細胞増殖抑制の効果の検討及び作用機序の解明を行った。また、DIFの細胞遊走・浸潤実験への効果を検討し、機序の一端を明らかにしてきた。30年度に行う予定であった4T1細胞を用いたin vivo実験は終了している。さらに、別種類の細胞株を使用してさらなる検討を予定している。それゆえ、概ね順調かもしくは予想以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で、DIFはTNBCにおいても従来のGSK-3とは別の機序により、MMP-2, vimentinの発現を抑制し細胞増殖・遊走・浸潤、さらには転移をも抑制することが明らかとなってきた。しかし、DIFがいかなる機序で抗腫瘍効果・抗転移効果をもたらすのかについては未解決のままである。 また、E-cadherin (上皮系マーカー) のタンパク発現はDIFにより変化しなかったため、DIFによる転移阻害がEMTを介していない可能性が示唆された。 乳がんでは、EMTは転移に必ずしも必要ではなく、がん細胞の転移においてはケモカイン受容体C-X-C Motif Chemokine Receptor 4 (CXCR4)とそのリガンドのC-X-C Motif Chemokine Ligand 12 (CXCL12)のシグナル伝達系が重要であると報告されている8, 9)。そこで申請者は、様々のがんにおいて恒常的に活性化しており、乳がんにおいてはその40%以上で活性がみられるSignal transducer and activator of transcription 3 (STAT3) に着目して、DIFのターゲットがstat経路にある仮説をもとに研究を遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
細胞培養器具をキャンペーン中に効率的に購入するため、次年度使用額が生じた。今年度、細胞培養器具購入のために使用する予定である。
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Research Products
(3 results)