2018 Fiscal Year Research-status Report
Wnt/PCP経路による微小管の平面内極性化機構の解析
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17K15593
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高岸 麻紀 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (10723918)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PCP / 平面内細胞極性 / Daple / 多繊毛細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Wnt/PCP経路が平面内極性化をもたらす分子機構を解明することを目的としている。平面内細胞極性を解析するための組織として、極性を持った多繊毛細胞がシート状に並ぶ脳室表面の組織を用いている。脳室表面は多繊毛細胞である上衣細胞に覆われており、脳脊髄液の流れがShare Stress(せん断応力)となって上衣細胞に水平軸での極性(平面内細胞極性)を与えている。 本年度は、脳室壁組織を用いてWnt/PCP分子群の免疫染色を行い、上衣細胞表層部において、脳脊髄液の流れに沿った、平面内で非対称に局在化するWnt/PCP分子を検出することができた。また、前年度から続けている微小管の電子顕微鏡画像の解析も進み、上衣細胞の繊毛基底小体に接続する微小管を捉えることができた。 一方で、脳室壁上衣細胞の微小管の極性化に関与する分子として、Wnt/PCP経路制御分子Dapleを解析している。Daple遺伝子欠損マウスの脳室壁上衣細胞では、微小管の平面内極性化がなくなり、基底小体の向きも乱れて繊毛の方向異常となり、水頭症を生じることを前年度に報告した。本年度は、Dapleが微小管を制御する分子機構を解析するため、脳室壁組織でDapleと結合する分子をスクリーニングし、その結果Dapleと結合する微小管制御分子を同定した。 脳室壁組織の免疫染色や、組織溶解液を用いた生化学実験によってこれらの微小管制御分子の局在や活性状態を解析し、Dapleノックアウトマウスと野生型で比較検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね研究計画に沿って進んでおり、前年度までに取得したデータの解析を進めて、標的分子を検索することができた。Dapleと結合する微小管関連分子の中でも、繊毛細胞で平面内細胞極性に影響を与える分子を発見した。
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Strategy for Future Research Activity |
Dapleと結合する微小管制御分子の、脳室壁組織での機能を証明する。脳室壁組織で候補分子を発現または活性制御した際の、上衣細胞内の微小管ダイナミクスやWnt/PCP分子郡への影響を評価する。
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Research Products
(3 results)