2023 Fiscal Year Annual Research Report
Wnt/PCP経路による微小管の平面内極性化機構の解析
Project/Area Number |
17K15593
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
高岸 麻紀 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 助教 (10723918)
|
Project Period (FY) |
2023-05-26 – 2024-03-31
|
Keywords | 微小管 / Daple |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Wntシグナル平面内細胞極性(Planar Cell Polarity; PCP)経路による脳室壁上衣細胞の微小管の平面内極性化機構を解析した。 脳脊髄液が産生される脳室表面には、運動性多繊毛が一面に立ち並び、繊毛が組織内で協調して恒常的に波打つことで、脳脊髄液を絶え間なく送り出すことができる。PCP制御分子である細胞膜タンパク質Fzdが、脳室組織内で協調して対称的に局在化して繊毛方向を決めている。繊毛方向を制御するために細胞骨格微小管のプラス端がFzd側に配向し、微小管の平面内極性が見られた。本研究では、細胞骨格である微小管に結合する分子Dapleが、脳室組織繊毛上衣細胞でFzdと共局在することに注目し、微小管の平面内細胞極性化機構を解明した。 脳室壁組織の繊毛上衣細胞において、Dapleは細胞質Dyneinと結合し、Fzd側の細胞膜直下にDyneinを架橋することを発見した。Dyneinは微小管上をマイナス方向へ移動するモータータンパク質で、繊毛の根元である基底小体から伸びた微小管のプラス端をキャプチャする。Fzd/Daple/Dynein複合体が平面方向へ配向する微小管を牽引し、微小管マイナス端にある基底小体をFzd側へ配向させていることがわかった。 これらのことから、本研究によって、細胞質Dyneinが脳室壁組織構造を維持し、脳脊髄液の恒常的な循環をもたらしていることを解明した。本成果は国際科学雑誌iScienceに掲載された(Takagishi, M, et.al.,iScience, 2020)。
|